遅れてやってきた「大器」関根大輝が五輪代表で躍動! 日本代表右SBの有力候補に浮上 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 昨年までの関根は、アジア大会に出場していることでもわかるように、必ずしもU-23世代の主力と呼ばれるような立場だったわけではない。

 というのも、アジア大会に出場したU-23代表は大学生を中心とした、いわばBチーム的な位置づけの編成だったからだ。

「僕自身、やっぱり大学とプロでは本当に差があるなっていうのは感じていましたし、早いうちからプロのスピードでプレーしていかないと、どうしても世代のトップだったり、アジア大会で差を痛感した韓国だったりとやる時には、自分のプレーが出せないなっていうのは思っていました」

 しかしながら、辛口の自己評価とは裏腹に、アジア大会での活躍を足がかりにチーム内での序列を徐々に上げていった関根は、今季J1での経験をさらなる推進力にして大きく飛躍。「プロのスピードに慣れてきたっていうのもあって、今は自分(の特長)を(U-23代表でも)すごく出せているのかなっていうのは思います」。

 今大会では、準々決勝までの全4試合中3試合にフル出場。もはや"Bチームの一員"だった頃の姿はなく、同世代の精鋭が集うチームにあって不可欠な存在にまでなっている。

「大学のレベルじゃなく、プロのレベルでプレーしたほうがこの舞台に近づくっていうのは感じていましたし、そういう強い気持ちを持ってレイソルでもプレーできていたので、開幕からスタメンで出られて、それが評価されてこの代表につながってきた。常に目標を持ち続けてやってきたことが、ここまで一気に(台頭して)こられているところかなって思います」

 2年前に時計の針を巻き戻せば、このチームの立ち上げ当初から、常連メンバーだったわけではない。それどころか、当時は代表に選ばれるような選手ではなかったと言ってもいいのだろう。

 だが、遅れてやってきた右サイドバックは、今や攻守に出色の活躍を見せ、日本の8大会連続となる五輪出場に大きく貢献しようとしている。

「次(の準決勝のイラク戦)に勝たないと何も残らないというか、意味がない。僕自身、オリンピックっていうのは、ずっと憧れの舞台でもありますし、絶対に出たいっていう気持ちがあるので、次の試合、何が何でも勝って出場権を取りたいと思います」

 森保一監督が率いるA代表に目を移せば、酒井宏樹がチームを離れて以降、右サイドバックは選手層が厚くなり、群雄割拠。菅原由勢、毎熊晟矢、橋岡大樹と、多彩な顔ぶれが熾烈なポジション争いを繰り広げている。

 しかし、裏を返せば、まだまだ確固たる地位を築くに至った選手はおらず、決め手を欠く状態が続いているとも言える。

 だとすれば、関根にチャンスが巡ってきても不思議はない。

 パリ五輪をステップに、ポスト酒井の座を射止めるのは、案外伸び盛りの21歳かもしれない。

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