U-23日本代表がマリに完敗 アジア予選に向けて不安が募る「弱点」がまんまと露呈 (2ページ目)
マリ戦に通じる現象がうかがえたのは、昨秋のアメリカ遠征で行なわれたアメリカ戦である。
前半6分に先制を許した日本は、同35分に追いついたものの、同45分に再びリードを許すと、後半さらに2失点。1-4の完敗を喫している。
アメリカに敗れたときにも、山本はこんな話をしている。
「(ヨーロッパのチームは)システマティックにやってくるので意外性がないというか、自分らが動かしたいように動いてくれるのでやりやすいかなというのは、正直自分も感じている。でも、オリンピックに出るとなれば、こういう相手ともやらなきゃいけないし、(その前にオリンピックに)出るためにはアジアで(どんな相手にも)しっかり勝ちきらなきゃいけない。やっぱりこういう相手にもアジャストしていく力をつけていかないといけない」
山本の言葉にもあるように、このチームは世界基準を求めて海外遠征を繰り返してはいるが、まだパリ五輪出場が決まったわけではない。これまでの経験を本番で生かすためには、まずはアジア最終予選を突破しなければならないのだ。
何をしてくるかわからないという意味では、アジア勢には日本が不得意とするタイプに属する国は多い。マリやアメリカほどの強さはないとしても、日本にとってはやりにくい相手が待っていることは確かだろう。
アジアと世界。そのふたつの舞台で戦おうとするとき、日本にはそれぞれに異なる基準、いわゆるダブルスタンダードが求められると言われて久しい。
だが、U-23代表を率いる大岩剛監督は、それぞれに異なる要素があることは認識したうえで、自分たちに求められるのは「ダブルスタンダードではない」と語る。
以下は、アメリカ戦当時に指揮官が口にしたコメントである。
「ヨーロッパだろうが、アジアだろうが、北中米であろうが、それぞれ特徴があるが、そのなかでも我々がやろうとしているスタイルを、ハイスピードのなかで、ハイインテンシティのなかで突き詰めることが、日本が強くなるうえで必要になる。(相手が)どこだからとかというよりも、我々のグループはスタンダードをもっともっと上げる必要があるなと痛感した」
幸か不幸か、マリ戦から中2日で迎える次の親善試合で対戦するのは、すでにパリ五輪出場が決まっているウクライナ。日本が得意とする(はずの)ヨーロッパ勢である。
得意、不得意の課題を抱えていることは、来月のアジア予選、さらにはその先のパリ五輪へ向けての不安要素ではあるものの、ひとまず見方を変えれば、昨年6月以来のヨーロッパ勢との対戦となるウクライナ戦は、指揮官が言う「我々のグループのスタンダード」がどれだけ上がっているのか見極める絶好の物差しになり得る。
そこでの結果が、すなわち予選突破を保証するものではないとしても、彼らの成長の跡が見られることを期待したい。
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