U-23日本代表がマリに完敗 アジア予選に向けて不安が募る「弱点」がまんまと露呈

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 パリ五輪のアジア最終予選(U-23アジアカップ)を来月に控えたU-23日本代表が、U-23マリ代表との親善試合を行ない、1-3で敗れた。

 日本は試合開始早々の前半2分、FKからのこぼれ球を拾ったMF平河悠が落ち着いて決めて先制したものの、その後はマリに主導権を握られる展開が続いた。

 マリの選手たちは技術的な粗さこそあったが、パススピードひとつ取っても、日本とは大きな違いを見せた。試合全体を俯瞰したときにはもちろん、試合中の局面一つひとつを切り取っても、マリの優勢は明らかだった。

 内容に照らせば、日本の敗戦は妥当な結果だったと認めるしかない。

個の能力で勝るマリ相手に苦戦を強いられたU-23日本代表。photo by Fujita Masato個の能力で勝るマリ相手に苦戦を強いられたU-23日本代表。photo by Fujita Masatoこの記事に関連する写真を見る しかしだからといって、この敗戦を「日本と世界との差」のひと言でまとめてしまうことには、少なからず違和感を覚える。

 というのも、現在のU-23代表は、まだU-21代表だった一昨年から精力的に海外遠征を重ねてきたのだが、その間にはマリよりも格上の強豪国に対し、勝利を収める、あるいは、好ゲームを繰り広げているからだ。

 例を挙げれば、以下のとおりである。

2022年9月 1△1イタリア
2022年11月 2〇1ポルトガル
2023年3月 2△2ドイツ
2023年6月 2〇0イングランド
2022年6月 0△0オランダ

 しかも、これらの試合は中立地(オーストリア)で行なわれたオランダ戦を除けば、すべてアウェーゲームだったのだ。マリに完敗を喫したことは事実でも、世界との差が大きいというのなら、なぜヨーロッパの一流国を相手にこれほどの試合が何度もできたのか。その説明がつかない。

 ヒントになるのは、マリ戦後にキャプテンのMF山本理仁が口にした、こんな言葉である。

「(マリの選手は)個で一枚剥がしにくる。ヨーロッパとはまた違う、アフリカのそういったもの(特徴)に僕らがアジャストしきれなかった」

 マリ戦も含め、U-23代表がこなしてきた一連の国際試合を振り返って感じるのは、単純な世界との実力差というよりも、日本は「得意、不得意の差が大きい」ということだ。ヨーロッパ勢は前者、マリは後者ということになるだろう。

 柔道にたとえるなら、しっかりと組んでくれる相手なら得意だが、組み手をきって技を掛け逃げしてきたり、力で強引に技を掛けてきたりする相手は不得意、といったところだろうか。

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