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なでしこジャパン・中嶋淑乃の突破に注目「極度の人見知り」のサイドアタッカーの目標は (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko

【長谷川唯さんは横にいてくれると頼もしい】

――今、何か自分に能力をもらえるとしたら何を選びますか?

中嶋 ドリブル!(即答)

――まだまだ極めたいということですか?

中嶋 いや、自分はすごくドリブルがうまいわけじゃないんですよね。だから......あ、でも変えます(笑)。守備力? いやシュート力かな? 正直、今どっちに力を入れればいいかわからないんです。

 起用のされ方でも変わってくるじゃないですか。誰にも負けないように攻撃を強くするか、守備がうまくなるか。どっちがいいんだろう?

――パリ五輪を目指す時、どんなプレーでそこにいたいのかという考え方もありますよね。

中嶋 そこなんですよね......切り札とか流れを変えるとかを求められているのなら、シュート力を選びます。だけど、どのみち必ずやらないといけない部分だから、やっぱり守備にします。そしてここは試合に出て学ぶしかない!

――学ぶと言えば......代表のなかで、この人に学んでる! という選手はいますか?

中嶋 すごいなって思ったのは(長谷川)唯さん。いや~うまい! 一回こっちが裏で要求してもギリギリでやめてくれるとか、最後までこっちの状況を見てボールを出してくれるんです。横にいてくれると頼もしい。時々あり得ない角度でパスが飛んでくる時があって、そういう時は「フゥ~!」ってテンションが上がります(笑)。

――中嶋選手がテンションを上げるというその流れからのゴール、期待していいですか?

中嶋 え......ま、任せてください!

◆ ◆ ◆

 最後は少し棒読み感が色濃かった中嶋。決して自信を前面に押し出して任せろなどと言うタイプではないのだ。

 最初は"なでしこジャパン"としてプレーすることが怖かったという。初めて組む選手、初めてのシステム、初めてのスピード、苦手な初モノづくし。それでも何度もそのサッカーに触れているうちに、なでしこジャパンとして戦うことは彼女にとって楽しいものに変わってきている。

 まだオリンピックってピンとこない、としながらも北朝鮮とのアジア最終予選に向けては力強く「点を獲りにいく!」と断言した。

 少しずつでいい。その扉を開いていけば、巧みなステップで相手をかわしてスピードを上げながらゴールへ向かう、中嶋の目指すプレーが覚醒するのではないだろうか。

後編「人見知り? おふざけキャラ? 中嶋の素顔」へつづく>>

中嶋淑乃 
なかしま・よしの/1999年7月27日生まれ。熊本県出身。東海大学付属熊本星翔高校から2018年にオルカ鴨川FCへ入団。2020年にはなでしこリーグ2部の得点王を獲得。2021年にサンフレッチェ広島レジーナへ移籍し、今季3シーズン目をプレーしている。2022年にE-1サッカー選手権を戦うなでしこジャパンに選出され、代表デビュー。2023年のアジア大会では決勝で先制点を挙げるなど、日本の優勝に貢献した。

著者プロフィール

  • 早草紀子

    早草紀子 (はやくさ・のりこ)

    兵庫・神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。在学中のJリーグ元年からサッカーを撮りはじめ、1994年からフリーランスとしてサッカー専門誌などに寄稿。1996年からは日本女子サッカーリーグのオフィシャルカメラマンも担当。女子サッカー報道の先駆者として、黎明期のシーンを手弁当で支えた。2005年より大宮アルディージャのオフィシャルカメラマン。2021年から、WEリーグのオフィシャルサイトで選手インタビューの連載も担当。

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