藤野あおば、20歳――WEリーグで増す存在感「得点はしたいし、取らなきゃいけない」

  • 早草紀子●取材・文 text&photo by Hayakusa Noriko

なでしこジャパンインタビュー
藤野あおば(FW/日テレ・東京ヴェルディベレーザ):後編

若手のホープとしてなでしこジャパンで活躍する藤野あおばは、WEリーグでも圧倒的な存在感を示している。高みを見つめるからこそ、日々悩み、もがき続ける彼女だが、それを乗り越えて成長していく姿は必見である――。

◆前編:なでしこジャパンのライジングスター 藤野あおばが駆け上がる「エース」への階段>>日テレ・東京ヴェルディベレーザのエースとしての活躍が期待される藤野あおば。photo by Hayakusa Noriko日テレ・東京ヴェルディベレーザのエースとしての活躍が期待される藤野あおば。photo by Hayakusa Norikoこの記事に関連する写真を見る ゴール前のこぼれ球を自ら拾い、敵DFをかわして角度のないところから放った低い弾道のシュート。昨夏の女子ワールドカップの舞台において、19歳の藤野あおばが見せたゴールは世界中のファンの度肝を抜いた。

 2011年女子W杯、なでしこジャパンの優勝を目にしてから、本気でサッカーに向き合ってきた少女は、今やなでしこジャパンの攻撃の主軸を担うまでになった。

 WEリーグでは、強豪日テレ・東京ヴェルディベレーザのストライカーとして攻撃をけん引する藤野。今シーズンにおいては、若きエースの双肩にかかる重責はより大きなものとなっている。絶対的なエースであった植木理子が今オフ、ウェストハム・ユナイテッド(イングランド)へ移籍したからだ。

 2021-2022シーズンに始まったWEリーグでの初タイトル獲得を掲げるベレーザにとって、ワールドカップで活躍した藤野への期待はこれまで以上に膨らんでいるが、彼女とてベレーザでスタメンを張れるようになってから、それほど月日が経っているわけではない。

 育成組織である日テレ・メニーナ・セリアスに所属していた藤野は、ユース昇格が叶わず、十文字高校に進学した。この期間に鍛え直されて、3年生の時にはキャプテンを任されるほどに成長。卒業と同時に、ベレーザへと返り咲いた。

 一度は断たれた憧れのチームでのプレーだからこそ、その誇りは誰よりもその胸に刻まれている。

 そして迎えた今シーズンは、メニーナから有望な若手が昇格。指揮官も、かつてベレーザの黄金期を築いた松田岳夫監督が就任し、新たなスタイルで頂点を目指している。

 だが、当然のことながら、新たな戦術の浸透には時間を要する。シーズン開幕を前にして、藤野の表情からは困惑の色が見て取れた。

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