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日本代表は悪い流れを断ち切れるか W杯予選北朝鮮戦に向けて識者4人が提言 (4ページ目)

【国内組を中心に戦うメリット】

 特に3月に行なわれる北朝鮮との2連戦は、各国のリーグ戦に加え、ヨーロッパのチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグが開催される週の翌週から行なわれることもあり、そこに絡んでいる選手は厳しい日程を強いられることになる。

 彼らを招集外にすることは、長い目で見れば日本代表にも大きなメリットがあり、今回こそベストメンバーを全員集合させるような招集はすべきではない。アジアカップでのショックから気持ちを切り替える意味でも、一度所属クラブの活動に集中させてあげることも必要だろう。

 北朝鮮との2連戦に臨むうえで参考にしたいのは、一昨年のE-1選手権である。

 この大会で日本は、香港、中国、韓国に3連勝して優勝しているのだが、その登録メンバーはひとりを除いてオール国内組。最後の日韓戦でも、お互いにベストメンバーではなかったとはいえ、よりベストに近い顔ぶれが揃っていた韓国に3-0と快勝している。

 当時のメンバーから、谷口彰悟、山根視来に加え、相馬勇紀、町野修斗がワールドカップメンバーに選ばれたことは、ここでの成果が後押しになったと考えていいだろう。

 国内組中心であれば週末のJリーグ終了とともに多くの選手が揃って国内キャンプを開始できるうえ、慣れ親しんだ環境で準備したうえで、まずホーム(国立)で戦えることのメリットは大きい。

 5日後に平壌で行なわれるアウェーゲームは、さまざまな意味で相当なプレッシャーにさらされることが予想されるが、北朝鮮は日本との時差がなく、国内組の選手であれば移動や時差調整の負担が小さくて済むこともメリットになる。

 もちろん、海外組であっても、小川航基(NEC)や渡辺剛(ゲント)らの新戦力候補にはチャンスがあってもいいが、従来からの主力、特にUEFAの大会に出場するクラブの選手は、一回休みに。

 ワールドカップで世界中を驚かせ、その後も親善試合でドイツを返り討ちにするなど、息つく暇もなく突っ走ってきた選手たちにとっても、日本代表を一度外から見てみることは、頭のなかを整理するいい機会になるのではないだろうか。
(つづく)

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

  • 浅田真樹

    浅田真樹 (あさだ・まさき)

    フリーライター。1967年生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。

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