日本代表をアジアカップ対戦国はどう見たか トルシエが指摘する「日本の弱点と長所」 (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【「イラクはベストメンバーではなかった」】

 イラクの記者ユニス・アルアカビ氏も、この勝利を大きくとらえていた。

「日本に勝てるチームは、世界のどのチームにも勝てる可能性を持っている。日本はトップクラスのチームだが、イラクはそれを恐れることも臆することもなく、何より不安になることもなく、対峙することができた。イラクの頭にあったことは勝つことのみだった。日本に勝ったことは、イラクの勝利をより輝かせてくれた。おまけに日本はほぼベストメンバーをそろえていたが、イラクはそうではなく、このことは我々により大きな希望を与えてくれた。日本はイラクがより世界に羽ばたけることを教えてくれた」

 また同じくイラク人の記者ラフィク・マフマド氏も試合をこう分析する。

「イラクは42年間、日本に勝っていなかった(日本戦勝利は1982年11月のアジア大会以来)。これは歴史的な勝利であり、日本はイラクの強さを、身をもって感じたことだろう。今のイラクは、中東のトップ3にも入るチームだ。カサス監督は日本の監督に、どうしたらより強いチームをブロックできるか、その方法を教えたことだろう。

 イラク人は日本戦に幻想は抱いてはいなかった。日本のほうがイラクよりずっと優秀であることはよくわかっていた。しかし11人の選手たちは誰もが高いモチベーションにあふれ、一方、日本はどこか眠っているようでもあった。我々は今、本当に幸せだ。世界の名門クラブでプレーする日本の選手たちに勝利したのだ。イラクサッカーにとっても重要な日となった」
(つづく)

後編『対戦国が見た日本代表 森保ジャパンの長所と課題、そして失望を外国人記者が語る』はこちら>>

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