森保一監督が分析したカタールW杯の敗因「間延びに気づかなかった」 今後の日本代表は「これまでのやり方を壊す」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

憲剛 3ラインのコンパクトさっていうのは、今の代表の鉄則だと僕は思っていて。クロアチア戦で間延びしていたと感じた選手がいるってことは、逆に言えばふだんはコンパクトさというものを徹底している証(あかし)だと思いました。

── 間延びした状態を修正することはできなかったのでしょうか。

森保 いや、自分も気づいていなかったんですよ。戦いとしては悪くなかったので。ただ、勝つ確率を上げられるかっていうと、そういう戦いではなかった。ドイツやスペインとは別物の戦いだったということです。

憲剛 その理由として、決勝トーナメントだったこともありますか? やっぱり、引き分けがないわけで、延長もあるし、PKもあるってなった時に、マインドが変わってしまったのかなと。

森保 それもあるかもしれないですね。勝ち上がっていく状況のなかで、グループリーグとは違うメンタルが生まれてしまったかもしれない。

寿人 僕、ゴール期待値を調べたんですけど、クロアチア戦は日本が作った期待値よりも、相手の期待値のほうがやっぱり高いんですよね。ドイツ戦も相手のほうが高かったですけど、あれは前半圧倒された部分もあったと思います。

 逆にスペイン戦は、ボールを持たれながらも日本のほうが高かった。だから、全体をコンパクトにして「いい守備からいい攻撃」というものが勝利の確率を上げるために重要だということが理解できますし、クロアチア戦はその部分が足りなかったということなんでしょうね。

森保 いずれ間延びしても勝てる時代が来るかもしれないけれど、距離感をよくしてコンパクトに戦わなければいけないっていうのは、フランスの試合を観ても感じたこと。あれだけ個の能力が高いうえに、本当にコンパクトにして戦っているわけだから、そりゃ、強いわって思いましたよ。

憲剛 理不尽ですよね(笑)。アルゼンチンに負けたけど、決勝もすごかった。7試合目であのテンションを保てるなんて、信じられなかったです。日本はクロアチアに勝っても、あと3つ勝たないと優勝できなかったと考えると、世界一になるのは果てしないなと感じてしまったんですよね。

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