森保一監督が分析したカタールW杯の敗因「間延びに気づかなかった」 今後の日本代表は「これまでのやり方を壊す」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

 クロアチア戦に関して言えば、実はあの試合だけ撃ち合っているんですよ。ドイツとスペイン戦は「いい守備からいい攻撃」というものができて、距離感のいいサッカーができていました。ただ、クロアチア戦の時は もっと自分たちはできるというやり方になってしまったんですね。

 結局、撃ち合いをしたなかで、負けてはいないですけど、もしかしたら勝てた試合を落としてしまった、という感覚はあります。ドイツやスペイン戦のメンタリティで行っていれば、相手に隙を与えず、自分たちが点を取ることができたんじゃないのかなと。

── ドイツやスペイン戦とは違うメンタリティで臨んでしまったと?

森保 クロアチアの監督も言っているんですよ。「日本は我々に真っ向からぶつかってきた」って。実は、私は日本の過去のワールドカップの試合をすべて見て、カタール大会に臨んだんですけど、2014年のワールドカップ(ブラジル大会)の時は、もう日本は世界と互角に戦えるというメンタリティだったんですね。

 もちろんミランだったり、インテルだったり、マンチェスター・ユナイテッドに所属している選手もいて、自分たちのサッカーができるという自信があったと思います。そこは日本のサッカー界のメンタリティのフェーズが変わったところなんですけど、でも、撃ち合いを望めばああいう結果になってしまうという現実を突きつけられた大会でもありました。

 それで4年後には西野(朗)さんが修正して、2014年を経験した選手たちも「いい守備からいい攻撃」という考え方を持つようになって、ベスト16までたどり着くことができました。カタールの時もそのメンタリティを持って入ったんですけど、あのクロアチア戦ではそれを忘れているんですよ。

 とある選手も後日、「あの試合は間延びしてましたよね」って言っていましたね。強豪国に勝った自信があったとは思いますけど、やっぱり撃ち合いを仕掛けてしまうと、勝つ確率としては下がってしまうんです。そこが今後の課題かなと思っています。

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