サッカー日本代表はミャンマー戦で組織的な攻撃は機能せず その理由を表すデータのある変化 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【なぜ前回対戦からゴール数が半減したのか】

 では、なぜ今回の対戦では前回と比べて日本のゴール数が半減してしまったのか。

 もちろん選手も試合状況も異なるため単純な比較はできないが、それを前提として、ひとつだけ大きく異なるスタッツがある。それは、日本が記録した敵陣での縦パスだ。

 前線に打ち込むくさびのパスの本数は、前回対戦では49本を記録したが、今回の試合では28本と激減。ここに、ゴール半減の要因が潜んでいる可能性がある。

 第1次森保ジャパンでは、縦パスが攻撃の調子を図るバロメーターだった。カタールW杯本番前にその傾向は失われたが、それまでの強化プロセスにおいて、森保一監督が重視していたのがそれだった。

 ボールを奪ったら縦に速く攻める。それができなかった場合は、しっかりと敵陣でボールを保持しながら、中央に縦パスを入れて相手を引き寄せ、そこで空いたサイドのスペースを使ってサイド攻撃でゴールをこじ開ける。

 要するに、中央攻撃があってこそのサイド攻撃だった。さらに言えば、中央攻撃をより機能させるために、複数の選手が同じ絵を描きながら連動する攻撃を求めていた。もちろん、1トップで抜群のポスト役となる大迫勇也の存在が大きく影響したことは間違いない。

 それに対し、第2次森保ジャパンでは、縦パスは攻撃が機能しているかどうかのバロメーターにはなっていない。過去8試合でゴールを量産した試合では、ロングやショートを含めたカウンターアタックが主流で、1トップにくさびを打ち込む回数は激減した。

 従って、ゴールパターンも大きく変わった。前回対戦時、日本が記録した10ゴールは多彩だった。たとえば、鎌田と南野のワンツーを使ったコンビプレーから南野が決めた先制点。右の伊東純也から南野、左の長友佑都に展開し、マイナスクロスを大迫がヘッドで決めた2点目。

 あるいは、右サイドで酒井宏樹、南野、伊東がダイレクトパスを使いながら崩したうえで入れた伊東のクロスをファーに飛び込んだ長友がヘッドで折り返し、大迫が決めた4点目など。その多くが、コンビネーションプレーから相手の守備ブロックを崩してのゴールだった。

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