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U-17日本代表が決勝T1回戦で涙も日本代表の未来を明るくする望外の「感覚」を得た

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 キャプテンのDF小杉啓太は試合後、目を真っ赤に腫らし、時折言葉をつまらせながらも、あくまで気丈に振る舞っていた。

「自分たち全員が最高の準備をして、みんな走りきれていた。中2日というタイトな日程でも全員できることはやり尽くしたので、疲労がこの結果につながったとは思わないし、自分たちの実力不足だと思う」

 だが、そんなキャプテンの言葉とは裏腹に、いつもなら後半に上がってくるはずの日本のギアは上がらなかった。

 彼我のコンディションには、大きな差があることは明白だった。

 U-17ワールドカップ決勝トーナメント1回戦。スペインと対戦した日本は1-2で敗れ、ベスト16敗退に終わった。

U-17W杯、日本は決勝トーナメント1回戦でスペインに敗れた。photo by Sato HiroyukiU-17W杯、日本は決勝トーナメント1回戦でスペインに敗れた。photo by Sato Hiroyukiこの記事に関連する写真を見る 互角以上の戦いを繰り広げ、1-1で折り返したものの、我慢の時間が長く続いた後半に1点を失っての惜敗である。

「前半は自分たちもやりたいサッカーができて、後半もこのままいこうという流れだったが、そう簡単にはいかなかった。相手に(ボールを)握られている時間が長くて、自分たちも疲弊してしまって、攻撃の質をまったく出せなかった」(MF佐藤龍之介)

「前半はやりたいことができていたが、後半は相手が(ボールを)持つ時間が増えたなかで、あの(2点目の)失点パターンは(事前の)分析で自分たちの頭のなかにもあった形だったので、悔しすぎるというか......」(DF本多康太郎)

 選手からはそんな声が聞かれたように、前半の日本の内容は悪くなかった。

 前半8分の失点を含め、立ち上がりこそスペインに主導権を握られはしたが、すぐに持ち直した日本は、右サイドを中心に何度となく攻撃を仕掛けた。

 すると前半40分、佐藤が敵陣深い位置で奪い返したボールを、最後はFW名和田我空が決めて同点。思うに任せない試合展開に、スペインの選手たちが苛立ちを露わにする様子も見られた。

 これまでの日本なら、後半さらに攻勢を強めて逆転へ、という流れだったはずである。

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