サッカー日本代表が欧州でドイツにも圧勝した「ミドルプレス」「プレス回避」とは何か? (2ページ目)
【ハイプレスもするが深追いはしない】
西部 結局DFラインが高いから、中盤の遠藤航と守田英正の運動量もそれほどかからずにセーブできるので、ブロック内の強度はすごくありましたね。やはりミドルゾーンに10人を収めて、そこの強度を強くしたいのが基本的な考え方だと思います。
ハイプレスもするけど、全部人に行くほどのリスクは冒さないで、いつでもミドルゾーンにブロックを作れるようにしていると。
清水 ボールの奪いどころが、最前線のところではない感じでしたね。GKやCBがボールを出した先で奪うという感じだったので、そこまで深追いしないというか。深追いしすぎると、例えば空けてしまったサイドバック(SB)のところを使われて、一気にミドルゾーンを攻略されてしまうんですね。
だからそこを慎重に、行きすぎないようにという感じで、西部さんが言われたような自分のブロックのところまで戻れるようにする意図は、僕も感じました。
西部 この守り方だと、相手は「意外とつなげるぞ!」と思うから人数をかけて前に出てくるんですが、そうするとミドルゾーンで奪われた時にスペース空いているから、日本はチャンスが大きくなります。
ヨーロッパのチームは、パスワークでも割と予測しやすい回し方をするので、日本がヨーロッパに強いのが何となくわかる試合でしたね。逆に南米や北中米、それからアフリカに対しては、そこまで成績が良くない。それはなぜかと言うと、日本がやっているようなことを相手もやってくるから。その時にどうするかというのは、まだちょっと答えは出ていないですね。
清水 でも今の日本の個の力だったら、ブラジルとアルゼンチン以外だったらそれでもいけちゃうんじゃないかなと思うんです。トルコ戦なんて、森保さんの標榜する「良い守備から良い攻撃」が「悪い守備から良い攻撃」になっていました。
プレスがはまらなくて、引かされてしまって。それでも良い攻撃になって4点も奪えるんだから、日本は個の力がやっぱり相当すごいなと。しかもサブメンバーでしたから。
西部 トルコはそこそこうまくて、日本の守備がそんなに強くないから、「行けるぞ!」って出ていったら、ボールを失って次々にやられるっていう感じでしたね。
――清水さんが印象的だったプレス回避はどのような感じだったですか?
清水 鎌田大地が日本のビルドアップ、プレス回避でカギを握っていたと思いました。
例えば右SBの菅原由勢にボールが来た時に、当然相手が奪いにくるんですが、鎌田は、伊東純也が高い位置に張って相手を釘付けにしてできた手前のスペースを使う意図がすごくありました。トップ下の位置から流れてくるから、鎌田は攻守共に右寄りだったんですよね。
鎌田がそのスペースに入ると、遠藤航、菅原、鎌田に対して相手2人の3対2の状況ができて、プレス回避ができていた。それが試合を通じてものすごく効いていました。
だから今回、鎌田はメンバーから外れましたけど、この代わりはなかなかいろんな選手にできるものではないかなという気はしています。
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