サッカー日本代表が欧州でドイツにも圧勝した「ミドルプレス」「プレス回避」とは何か? (3ページ目)
【サブメンバーに戦術の浸透はない】
――トルコ戦の守備の悪かったところとは?
清水 4-4-2の形で守る時に、前線の2人が古橋亨梧と久保建英でいこうとしたと思うんですが、ここで相手の攻撃を絞り込めずボールを運ばれているケースが多かったですね。ドイツ戦ではアンカーの選手にほとんどボールを触らせていなかったんですけど、トルコ戦では普通に触らせまくっていた。
結局これは中盤との絡みもあるんです。ツートップの追い込みと中盤の連動もなかった。ファーストプレスがはまらずにボールを運ばれるシーンがいっぱいありました。
ただ別に古橋と久保のコンビだけがすごく悪いというより、日本代表でこれがうまくはまっているツートップの組み合わせも多分少ないんです。誰が入っても大体はまっていない。それでもドイツ戦の上田綺世と鎌田のコンビは、積み上げがあるし今まで親善試合のなかで、相手に振り回されながらもやってきた経験値があったということなのかなと。
だから、サブメンバーでやはり全然浸透がないというところですね。
西部 冨安&板倉と遠藤&守田、この真ん中のところが非常に強かったのがドイツ戦。トルコ戦は、DFラインが冨安&板倉ほど強気のラインではなかったのかなと。
どうしても陣形がコンパクトにならないので、一応ハイプレスしようと思っても、先ほど言ったように日本はゾーンで構えているから、人を捕まえているのに比べるとアプローチが遅いんですよね。そうするとやはり相手にボールを運ばれるケースが多くなって、DFラインもずっと下がるし全体に強度が全然足りなくなってしまう。
ただし逆に相手が前に出てきてくれるので、カウンターがずいぶんチャンスになりました。
もう一つ思ったのが、4-4-2で守備をする時に、前の2人の守備力って結構大事だなと。日本人のFWは例えばJリーグを見ていてもここの2人が頑張って、ちゃんと守備をさぼらないでやるんですよね。ミドルゾーンでブロックを作って守れるという時に、この前の2人が頑張れるのは、一つの要因かもしれないですね。
清水 すごく気になるのは、日本代表で普段やってないペアが2トップになる時、2人が相手に対してあべこべの寄せ方をする時があるんですよね。
例えばボールを持っている相手CBに対して、1人のFWが相手のアンカーへのコースを消しながら寄せているのに、もう1人のFWもアンカーへのパスコースをカバーするようなポジションを取ってしまうとか。そうすると簡単に横パスで逃げられてしまいますよね。
この2トップのプレスの連動が、なかなか取れていない。森保監督が今回のメンバーを選んだ時に「戦術の浸透を図りたい」と。選手はあんまり変わっていないのに戦術の浸透を図りたいというのは、結局今のメンバーの中では浸透できていないというのがあるのかなと。サブメンバーを中心に、できるメンバーをもっと増やしたい狙いがあるのだと思います。
やっぱり主力のメンバーは、プレスに行くところの寄せ方などうまいですよ。他のメンバーと比べて開きがあるなと感じます。そこを引き上げたいんだと思います。森保監督の難解なメッセージを読み解くなら、そこはすごく印象に残りました。
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