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澤穂希が熊谷紗希を激励して喝! なでしこジャパン理想のチーム像を2011年から紐解く (2ページ目)

  • 早草紀子●写真・文 photo&text by Hayakusa Noriko

熊谷 当時は長く同じメンバーでやっていたからっていうこともあるかもしれないけど、「みんなが、みんなのよさを引き出そう!」っていうチームだったじゃないですか。だから私はそれが「理想のチーム」だと思うし、今のチームでもやれると思っています。

 みんなの共通意識、だね。

熊谷 澤さんが、こうやって動いたら、ボールはきっとこうくるかな、みたいな。澤さんがアプローチに行ったら、こぼれるとしたらココだな!って予測があったから。

宮間 それが、試合をコントールできているってことなんだと思う。誰かにとって予想外のことが起きても他の誰かが予測していて、あの時はみんなで試合をコントロールしていたってイメージがあるなぁ。

 でも、私たちはチームづくりの時間があったし、ノリさん(当時の佐々木則夫監督)とも「こうしていいですか?」「こうします!」みたいな話ができていたけど、今回はあまりにも準備期間が短いから(※東京オリンピックの開催が1年延期されたため、新体制のスタートが通常より遅かった)難しい状況ではあるけど、紗希はどんな守備をしたい?

熊谷 今、太さん(池田太監督)ともノリさんの時のような関係を持てています。太さんもハイプレスとは言うものの、状況判断が大事だってことはわかっていて、私も、もうちょっと全員の認識のなかで割りきる時は割りきるべきだと思うんです。相手によっては個で守る時間も絶対にあると思うから......。そうしたみんなの認識を絶対に合わせないといけない。相手に合わせるというか、相手のストロングを消す守備は絶対に必要だと思っています。

 結局、みんなで前に行って、うしろがスライドして、スライドして......その形を要求されているから、みんなに意識づけがなされている。それはいいんです。意識づけはOK! でもその時にボールを奪われて、ロングボールを入れられて失点することもあるんです。

宮間 今は行かないよ!って言うとか?

 言われたことだけやっていると難しい局面になることもあるからね。

熊谷 ここからはその判断ができないとダメだと思います。

 結局、自分たちのミスからやられる......。

熊谷 そう思います。だから「どこまで状況を考えて動けているのか?」っていうところを突き詰めて、私は守備をしていきたい。

宮間 W杯本大会までの時間、すり合わせなきゃいけないことはたくさんある。守備においても、チーム戦術もそうだけど、個人の状況判断で相手のストロングを消す、っていうところをもう少しこだわっていかないと、自分たちが目指す結果は得られない。「ここからの時間は相手のストロングを消す守備もやっていきます!」ってことでいいですか?

 キレイにまとまった!すごい!!

熊谷 ですっ(笑)!

◇ ◇ ◇

 終始、テンポのいい会話と笑い声が絶えなかった対談後、「モチベーションがさらに上がった!」と語った熊谷。チームそれぞれに色がある。準備時間が短かった分、裏を返せば、今のチームはここからどんな色をまとうこともできるということ。すべては自分たち次第であり、やらない後悔ほど色濃く影を落とすこともある。若かりし頃の気持ちと、上に立ったからわかる難しさ――熊谷が「正解かどうかわからない」と振り返るこれまでのキャプテンとしてのアプローチにも、自信が持てる時間になったのではないだろうか。

 7月20日に開幕した女子W杯。今のなでしこジャパンにしかできない、熊谷キャプテンだからこそ生まれたチームとして、堂々と世界と渡り合う姿を見せてくれることを信じている。

FOOT×BRAINのなでしこジャパン応援企画後編では、長谷川唯&長野風花と澤さんとのボランチ鼎談が放送される。ボランチが背負うべき役割、長谷川、長野の2人だからこそ突き詰めてほしいプレーなど、澤さんからの金言をしっかり受け止めようとする2人の緊張をともないながらも、レジェンドに注がれる真剣な眼差しは必見だ。

■番組情報

『FOOT×BRAIN』 女子W杯開幕!新旧なでしこ対談と勝利への"気づき"

【テレビ東京】

715日(土)24:5525:25

BSテレ東】

716日(日)26:1026:40

番組HPはこちら>>https://www.tv-tokyo.co.jp/footbrain/

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