なでしこジャパンは世間が思っているほど弱くない「個のレベルは2011年より上」と元女子代表監督が断言 (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • 早草紀子●撮影 photo by Hayakusa Noriko

 また、今回のチームには海外クラブに所属している選手がたくさんいる。それも、イタリアのローマをはじめ、イングランドのリバプールやマンチェスター・シティーなどのトップクラブである。彼女らはそこで、自分たちよりも体の大きな選手、身体能力や体力でも勝る選手たちと日々練習し、リーグ戦で対峙し戦っている。

 その経験はすごく大きい。実際、男子も多くの選手が海外に出ていって、日頃からフィジカルに長けた選手たちと戦って、それが当たり前になっている。そのなかで、自らがそういう相手にどう対処し、どうすれば勝てるのか、身につけてきた。

 おかげで、今では日本代表の選手たちは、世界中のどんな相手を敵に回しても臆することなく、互角に渡り合おうとする。だから、ボールの競り合いでも屈しないし、果敢にゴールを狙っていく姿勢を見せる。それが、昨秋のカタールW杯でも結果として表れた。

 同じことは、今のなでしこジャパンにも言える。そのうえ、なでしこジャパンには世界が認める組織力がある。チームプレー、コンビネーションプレーというのは、今でも世界トップクラス。世界の各国と同様、なでしこジャパンも確実に進歩しているので、悪い流れにはないと思っている」(鈴木氏)

 ということは、世間が思っているほど、なでしこジャパンは弱くはなく、今回のW杯でもそれなりに上位進出のチャンスがあるということか。

「W杯の壮行試合となるパナマ戦を5-0と快勝。本番前の調整試合として、それに適した相手とやって、試合内容もよく、やりたいサッカーを表現できた。気持ちよく本番に臨むという目標を達成し、W杯への準備としてはいいゲームができたのではないかと思う。

 相手が相手だったので攻められることはなかったが、守備では最終ラインまでくる前に相手を押さえられていたし、攻撃ではボランチの長野風花と長谷川唯のところからうまく展開し、いい形を作っていた。清水梨紗、遠藤純もサイドから効果的なチャンスメイクを見せて、2シャドーの宮澤ひなた、藤野あおばもそれぞれのよさを出していた。

 もちろん、本番ではより強い相手と対戦することになるが、フィジカル面では日本がハンデキャップに感じる差が、男子ほどはないと思っている。なでしこジャパンはなでしこジャパンの戦い方をすれば、十分に戦えるだろう。

 W杯連覇中のアメリカにしても、体力やパワーはあるけれど、日本がかなわない相手ではない。特に最近は、絶対的な強さを感じない。試合を見ていても、日本との差はそこまで感じられない。そうしたことも含めて、個人的には今回のワールドカップでは、なでしこジャパンにかなりの期待をしている。

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