なでしこジャパンは世間が思っているほど弱くない「個のレベルは2011年より上」と元女子代表監督が断言 (2ページ目)
そういう流れにあって、ヨーロッパでもいろいろな国が女子サッカーを強化。育成にも尽力して、一気に強くなってきた。当初は蹴って走るだけの国も、日本の、なでしこジャパンの組織力、連係というものを見て驚かされ、その点について『我々も』と見習って、進化、発展を遂げてきた。
となれば、なでしこジャパンがなかなか勝てなくなっている、世界で結果を出すことに苦労している、というのはある意味で必然のこと。2003年、2007年とW杯を連覇したドイツにしても、同じ問題を抱えている。
そう考えると、なでしこジャパンが弱くなっている、というわけではない。世界全体が進歩、成長しているのであって、なでしこジャパンが停滞しているとは言えない。個々の選手を見れば、以前と比べても、W杯で優勝したチームと比較しても、非常にレベルが高いし、個の力を持っている」
だとしても、近年の女子サッカーは男子と同じくフィジカル面、パワーやスピードに重きを置いたサッカーが主流になりつつある。そうしたなか、体格や身体能力で劣る日本人、すなわちなでしこジャパンは、さらに厳しい状況に追い込まれていくのではないか。
「それは、女子に限らず、男子も昔から抱えている日本サッカーの課題。ただそのこと、つまり(世界の)パワーやスピードに対して、どうやって対抗していくのか。それらに勝る相手にどうやって勝っていくのか、ということは、なでしこジャパンはもちろん、日本サッカー全体が十分に理解して、ずっと強化を進めてきている。
とりわけ、今のなでしこジャパンは、そうした点を大切な目標、重要なポイントとしてとらえてきている。それを克服しなければ勝てないことは十分にわかっているわけで、WEリーグでも、なでしこジャパンでも、さまざまな研究をし、強化策を練って実践してきた。
無論、一日で体が大きくなるわけではないし、急にスピードやパワーがつくわけでもない。そこで、日本が主に行なってきたのは、個人能力のレベルアップ。要するに、体力勝負ではなく、技術的な部分でどう太刀打ちしていくか。1対1における相手との間合いやボールの持ち方。瞬間的な動きによる敵のかわし方や、ドリブルでの突破力など、個をレベルアップすることで、フィジカルで勝る海外チームとの対抗策を図ってきた。
それらは、選手個々もわかっていることで、各所属チームに戻っても、自らの課題としてトレーニングを重ねてきているはず。瞬間的なスピードや、当たり負けしない体幹の強さなど、それぞれで鍛え、各々備わってきていると思う。
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