久保建英は「ボールを保持する時間を増やしたかった」。鎌田大地との両立は? (3ページ目)
ペルー戦の久保はトップの一角で、20分間ほどの出場で仕事をやり切っている。左サイドの堂安律に近づき、阿吽のパス交換。前線から激しくボールを追い、パスコースを限定した。試合をクローズさせる使命を果たしながら、色気も出した。カウンターでは自らドリブルで猛然とゴールに向かい、フェイントでコースを作ると、左足で際どいシュートを狙った。
現状、日本の選手たちは欧州で揉まれて成熟している。堅守カウンターのスタイルであってもフィットできる。そのほうが持ち味を出せる選手もいるし、ひとつの形だ。
しかし、久保と鎌田は並び立たないのか?
ふたりは規格外のコンビネーションの使い手で、攻撃の可能性を広げることができる。一方で、ポゼッションは守備にも使える。カウンター一辺倒では、行ったり来たりのギャンブルになってしまうのだ。
久保と鎌田の使い方は、今後は森保ジャパンのバロメータになるかもしれない。
「今シーズンは楽しかったですね!」
2022-23シーズン最後の試合を終えた久保は、ステレオを右手に持って笑顔を作った。2023?24シーズン、ラ・レアルは7月10日からの始動となる。次の代表戦は9月の欧州遠征だ。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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