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青山敏弘がブラジルW杯で痛感した「自分たちのサッカー」の限界 ザックジャパンの歯車はどこで狂ってしまったのか (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

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 そうした状況にあって、青山は複雑な心境でいた。

「このチームは攻撃がメインで、どんな強豪相手にも撃ち合って戦ってきた。そうやって結果を出してきた選手が多かったこともあって、攻撃的な姿勢を貫くというメンタルのブレはなかったです。それは(前回の2010年)南アフリカW杯と異なり、『攻撃的に戦って結果を出さないといけない』という意識がみんな、強かったというのもあったと思います。

 でもそれが、(初戦に敗れて)偏った方向にいったというか......。次の日の練習から(それまでのチームとは)雰囲気が変わってしまった。"我慢強く戦う"という意識が薄れて、"とにかく攻撃して点取る"みたいなムードになり、本来よかった攻守のバランスが崩れているなって思いました」

 とりわけ攻撃陣は、初戦を失い、グループリーグ突破のための得失点差も考えて「2点、3点、取って勝つぞ」という意識へと一気に傾いていった。

 サッカーにおいて、どんな相手に対しても、攻守のバランスを欠いては勝てない。チームを率いるアルベルト・ザッケローニはもちろん、選手の誰もがそのことはわかっていたはずだ。が、過剰に前掛かりになる攻撃陣を、もはや誰も止められなくなっていた。

 初戦を落とすと、グループリーグ突破は困難になる――そのことを誰もが理解しており、2戦目のギリシャ戦は、絶対に勝たなければならない試合になった。

 日本は中盤で攻撃を組み立てる香川真司を外して、大久保嘉人を先発で起用。前線の枚数を増やして得点力アップを図ったが、その攻撃はなかなか機能しなかった。

 さらに前半38分、退場者を出したギリシャが戦略を変更。引いて守りを固め、ドロー狙いにシフトしたことで、日本は余計に決め手を欠いた。後半から遠藤を入れ、日本はより攻撃的に出たが、ゴールは遠かった。

 ベンチに控えていた青山は、初戦とは違って、自分がピッチに入った時のプレーがイメージできていた。

「相手に退場者が出て、(日本が)一方的に攻める展開になったけど、相手にしっかり守られていたので難しい状態でした。でもだからこそ、(自分が試合に)出たかったですね。勝負どころでいきたかった。何ができるのかは別として、この試合は『自分が一番いける』『一番やれそうだな』と思っていましたし、チャレンジしたいという気持ちが強かった」

 その後、日本は香川も投入したが、ギリシャの厚い守りに跳ね返された。ジリジリと時間だけが過ぎていって、ピッチはもちろん、ベンチも焦りの色が濃くなっていった。

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