中村憲剛と佐藤寿人がW杯で感じた世界との差。「谷口彰悟のパフォーマンスはJリーグでプレーしている全選手が勇気づけられた」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

中村憲剛×佐藤寿人
第13回「日本サッカー向上委員会」@後編

 1980年生まれの中村憲剛と、1982年生まれの佐藤寿人。2020年シーズンかぎりでユニフォームを脱いだふたりのレジェンドは、現役時代から仲がいい。気の置けない関係だから、彼らが交わすトークは本音ばかりだ。ならば、ふたりに日本サッカーについて語り合ってもらえれば、もっといい未来が見えてくるのではないか。飾らない言葉が飛び交う「日本サッカー向上委員会」、第13回は日本中を熱狂の渦に巻き込んだカタールワールドカップについて語り尽くす。

◆第13回@前編はこちら>>「あのクロアチアなら4バックで守れるんじゃないかと」
◆第13回@中編はこちら>>「森保さん続投なら、戦い方の幅を広げていく作業に入るフェーズになる」

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ミスのない守備でスペインを抑え込んだ谷口彰悟ミスのない守備でスペインを抑え込んだ谷口彰悟この記事に関連する写真を見る── 日本代表がワールドカップでベスト16を超えていくためには、「守ることにプラスしてボール保持の時間を増やし、攻撃の幅を広げて能動的な戦いができないと難しい」と。

憲剛 これも、今の日本におけるサッカーの立ち位置からくるものかもしれないけれど、日本の場合はワールドカップで3連敗でもしたら、サッカー人気が地に落ちてしまう危険性があるわけですよね。

 もちろん、(2010年の)岡田(武史)さんも今回の森保さんも勝負師として、その時のチームの状態からどう勝つかを考え抜いてあの戦い方を決断したと思いますが、結果が出なかった時の代償が、まだまだ日本は大きすぎる。

 たとえば今回、ドイツがグループリーグで敗退したけれど、それでブンデスリーガのお客さんが減るかというと、たぶん減らないですよね。

寿人 文化として沁みついていますからね。

憲剛 ドイツやスペインだったら、試合の日にはおじいちゃんやおばあちゃん、子どもたちがカフェやレストラン、公園などで「あーでもないこーでもない」と至るところで議論が起きていると思うんです。きっと。でも、日本だとまだそうはならないですよね。

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