中村憲剛と佐藤寿人がW杯で感じた世界との差。「谷口彰悟のパフォーマンスはJリーグでプレーしている全選手が勇気づけられた」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

寿人 それに近い話を、カタールで西野(朗)さんとしたんですよ。前回大会のポーランド戦が日本で議論になったじゃないですか。負けているのに、なんで攻めないのかって。

 でも、勝ち上がるためには、あれが正解だったわけで。サッカーの見方だったり受け止め方は、昔に比べればだいぶレベルが上がってきているとは思いますけど、サッカーが日常にある国と比べたら、まだまだだなとも思います。

 やっぱり、代表チームが強くなるためには、ちゃんとした議論をしていかないといけない。称賛されることは称賛されるべきですけど、手放しでよかったではダメ。なぜ勝てなかったのかを、いろんな人がいろんな角度から話す場所が、もっと増えてほしいですね。もちろん、僕も感動はしましたけど、「感動をありがとう」で終わってしまっては、進歩はないのかなと思います。

憲剛 見る側のレベルも上がっていますけど、まだ日本はプロができてから30年ですからね。驚異的なスピードで進歩しているし、みんなが望むから、ここまで成長できているのもたしか。ただ、世界の進化のスピードはもっと速いわけで、さらにギアを上げていかないと置いていかれてしまう危機感を、いちサッカー関係者として今回のW杯を見た時に感じています。

寿人 速度を上げていくには、相当な熱量が必要ですよね。

憲剛 そういう意味で、ワールドカップには出続けなければいけないし、グループリーグで負けるのもダメ。ワールドカップの舞台に立たないとわからないこともあるし、ベスト16まで行くことで測れるものもある。

 ベスト16が日常になれば、ベスト8に行ける可能性も高まると思うんですよ。今回初めて2大会連続でベスト16になった。ようやく、もうひとつ先に行ける可能性が見えてきたのかなと思います。

── 日常を変えるためには、選手が海外に出ていくしか手はないのでしょうか。

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