サッカー日本代表選手の証言で振り返るコスタリカ戦。試合前後にどんなことを語っていたのか。複数のコメントで浮かび上がるいくつもの敗因 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 結局、日本は有効な攻撃を繰り出せないまま迎えた後半81分、自陣ペナルティエリア付近でのつなぎのミスからコスタリカにボールを奪われ、そのまま痛恨のゴールを決められてしまう。

「最後のところで守る、ということでは問題なかったが、失点した時間帯というのはちょっとオープンになって、どっちが1点をとるか、みたいなゲーム展開になってしまった」(遠藤)

 この1点が致命傷となり、日本は0-1の敗戦。最後までコスタリカゴールをこじ開けることはできなかった。

「失点のところに(自分が)関わったことは反省するが、やっぱり事故(による)失点があった時には得点がなかったら勝てない。得点を奪いにいかないといけなかった」(守田)

「後半勝負でチャンスを決めきれていれば、みたいなゲーム展開だったと思うが、最低でも勝ち点1はとりたかった」(遠藤)

「今日は球際も含めて、相手のほうが優っていたかなと思う。きれいなサッカーだけじゃ勝てない」(長友)

 これで日本は1勝1敗。せっかくのドイツ戦勝利をフイにしてしまうような痛い敗戦を喫した。

「ドイツ戦勝利からの3日間、この試合が難しくなることは間違いないと思っていたし、そのなかで自分自身にも、チームにも、準備ができているのかとずっと問い続けてきたが、『これがサッカーの難しさだな』って改めて感じている。わかっていたことだが、一番起きてはならない展開になってしまったなと思う」(吉田)

 もちろん、まだ何も決まったわけではない。日本はグループリーグ第3戦で勝てば、自力で決勝トーナメント進出を決ることができる。

「もう一回立ち上がらなきゃいけないし、自信と勇気を持ってスペイン戦に挑まなきゃいけない。ここですべてを投げ出すにはまだ早い」(吉田)

 だが、第3戦の相手は、今大会の優勝候補にも挙げられるスペイン。簡単に勝てる相手でないことは言うまでもない。

「(ドイツvsスペインを見て)ドイツでさえ、スペインに圧倒されていると感じた。本当に強いチームだと思う」(伊東)

 それでも日本には、スペイン戦での勝利以外に自力突破の手段はない。

「(スペイン戦では)後悔しない戦いをしないといけない。ドイツ戦のような(劣勢が続く)戦いになる可能性もあるが、今日のように試合が終わって、全員が後悔を残すような試合には絶対にしないように。しっかりと準備をして、自分たちのすべてを出したいと思う」(三笘)

 ドイツ戦での歴史的勝利に酔いしれたのも束の間、日本が初の2大会連続決勝トーナメント進出を果たすためには、今大会2度目のサプライズを起こさなければならなくなった。

(つづく)

【著者プロフィール】浅田真樹(あさだ・まさき)
フリーライター。1967生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。

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【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

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