検索

「鎌田大地のボランチ起用は?」「4年後に期待できる若手は?」「もし自身が日本代表にいたら?」稲本潤一はすべて正直に答えてくれた (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 個人的には、もっと自分を出していいと思うんですよ。戦術ももちろん大事ですけど、個人が戦術を上回るくらいに。昔のヒデさん(中田英寿)みたいな選手になってほしいですね。

 今回はかなり悔しい想いをしたはずなので、ここからの4年間でどれだけ成長できるか。そのためには環境も重要になってくるので、どこのリーグに行くのかも含めて、鎌田選手には注目したいですね」

── 今のサッカーにおいて、ボランチに最も求められる資質は何だと思いますか?

「ゲームの流れを感じられる能力ですね。あと、それを発揮できる心技体があること。特にチームが苦しい時に助けられるような選手が真ん中にいないと、なかなかチームは機能しないと思います。

 たとえばドイツ戦やスペイン戦のように、ずっとボールを回される試合もあるなかで、真ん中が安定しなければ、簡単に崩れてしまうと思うんです。でも、そこがしっかりしていれば、耐えることができますし、耐えているなかでチャンスに結びつけることもできる。

 チームに安心感を与えたり、希望を持たせることのできる選手が『優れたボランチ』だと思います。そういった能力を身につけるためには、やっぱりよりレベルの高いところでプレーする必要があります。プレッシャーのかかる試合を何度も経験しなければ、手に入らないものだと思いますから」

── ちなみに、もし今回の日本代表に稲本選手がいたら、どんなプレーをしていたと思いますか?

「我慢じゃないですか(笑)。ずっと我慢して、隙を見てボールを取って、そのまま駆け上がりたいですね。もう、あれだけボールを回されると我慢しかないので、どこまで耐えられるかどうか。自分だったら耐えられたかな? だから、最後まで我慢し続けた彼らは本当にすごいと思いますよ」


【profile】
稲本潤一(いなもと・じゅんいち)
1979年9月18日生まれ、大阪府堺市出身。1997年、ガンバ大阪の下部組織からトップチームに昇格し、当時最年少の17歳6カ月でJリーグ初出場を果たす。2001年のアーセナル移籍を皮切りにヨーロッパで9年間プレーしたのち、2010年に川崎フロンターレに加入。その後、北海道コンサドーレ札幌→SC相模原を経て、2022年より関東サッカーリーグ1部・南葛SCに所属する。日本代表として2000年から2010年まで82試合に出場。ポジション=MF。181cm、77kg。

【筆者プロフィール】原山裕平(はらやま・ゆうへい)
スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。

★中村俊輔選手との鼎談全文(合計33ページ)収録★
↓↓↓↓↓↓↓↓
webスポルティーバの大人気対談
「中村憲剛×佐藤寿人 日本サッカー向上委員会」が一冊の本になった!

 書籍名は「ケンゴとヒサト サッカー人生以外も役に立つサッカーの話」

 ふたりが願う「日本サッカーのさらなる向上」を実現するため、さまざまなテーマに沿って対談形式で本音をぶつけあう。また、カタールワールドカップ直前企画として「ふたりの思い出のワールドカップこぼれ話」、さらにはふたりが熱望した元日本代表MF中村俊輔選手を招いて豪華な「スペシャル鼎談」も収録。プロとして20年近く現役を続けられたふたりの言葉は、「サッカー以外の人生」にもきっと役に立つ。

<中村憲剛さんからのコメント>
「長く第一線でやれたのには理由があります。その要因を紐解くことは、サッカーだけではなく、おそらくサッカー以外の社会や組織にも当てはまること。その『ヒント』になるようなものが、この本には詰められていると思います」

<佐藤寿人さんからのコメント>
「僕らはスポーツの世界で経験してきたことを話していますけど、それをうまく変換して『自分事』として捉えていただき、それぞれの環境で生かしてもらえたら。サッカーをやってきたなかで学んだことは、人生にも役立つんです」

【書籍名】 ケンゴとヒサト サッカー人生以外も役に立つサッカーの話
【発 行】 集英社
【発 売】 2022年11月14日(月)
【定 価】 本体1,700円+税

◆ご予約はこちらから>> 「集英社・書籍案内」 「Amazon」 「楽天ブックス」


【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

【写真・画像】識者5人が選んだカタールW杯「ベストイレブン」フォーメーション

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る