「ドイツ戦の成功体験」を引きずった森保ジャパンの戦いを検証。結果オーライで論理的には整合性がなかった (4ページ目)
杉山 後半の頭からふたりを代えたのが当たったのは確かです。昔に比べて控えの選手のレベルが上がったのは間違いなく、入った三笘と堂安律の威勢のよさが、そのままストレートにピッチに表れました。それで緩い感じで入ったスペインがパニックになった。メンバー交代5人制をうまく利用したのも確か。3人制だったらあそこで2枚替えはできなかったでしょう。スペインと1点差なら後半頭にひとりで、あとは15分、25分というのがせいぜい。5人をうまく代えたと言うことはできるのですが、クロアチア戦はそれができなかった。たぶん色気が出てくるとダメなんでしょう。スペイン戦はやぶれかぶれだったからよかった。
浅田 同点ゴールのシーンですが、日本陣内に入っていたボールを、前半同様、無理せずボールを保持し続けようとしたロドリがGKまで下げて、日本のプレスをわざわざ呼び込んでしまっている。スペインの魔が差したとしか見えないプレーから生まれているわけです。それと選手交代がちょうどうまくはまった。
(つづく)
杉山茂樹(すぎやま・しげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
浅田真樹(あさだ・まさき)
フリーライター。1967年生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。
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