「4年間それがやりたかったのか」というサッカーで敗れた日本代表を総括。これからの3年半で必要なこととは
森保ジャパンのカタールW杯を総括~杉山茂樹×浅田真樹(後編)
前編・「ドイツ戦の成功体験」を引きずった森保ジャパンの戦いを検証。結果オーライで論理的には整合性がなかったを読む>>
杉山 W杯は一発勝負だから、スペイン戦は一か八かの選手交代がうまくいったという言い方はもちろんできるのですが、もうひとつの視点として、もう1回スペインとやったら勝てるのかということが必要だと思うんです。スペインとの実力差は縮まったのか。少しは近づいたかもしれないけど、まだまだ差は大きいでしょう。
日本では報道も含めて「勝ったから何でもいい」という話になっているのかもしれないけど、ドイツ、スペインに勝つことがあるのもサッカーだし、コスタリカに負けることがあるのもサッカー。もう少し冷静に考えないといけないんじゃないかと思います。2点目の三笘薫の折り返しも、少なくとも僕の席からは出ているように見えた。だから「出ていた」と言うつもりはまったくないけど、半分はラッキーぐらいに思ってないといけないのではないですか。
浅田 たまたま勝つこともあるし、たまたま負けることもある。それを受け入れないと先に進めない。勝った負けたではなく、ドイツやスペインとの差が縮まったと思えるかどうかは重要ですね。とはいえ、ドイツ、スペイン相手に、W杯という舞台、つまり相手が親善試合のようにそれほど力を抜いているわけではない舞台で勝つことができたという意味で、日本は進歩したのだと思います。ただ10回やって5回勝てるのかといったら、まったくそんなことはない。「この勝利は必然」などと言ったら前には進まない。だからコスタリカに負けちゃうんだよ、という感じです。
決勝トーナメント1回戦、クロアチアに延長、PK戦の末に敗れた日本代表この記事に関連する写真を見る杉山 最後のクロアチア戦は、ダラダラした延長を見ていて思うところがありました。クロアチアは歳をとった選手もいて、疲れているように見えた。そんななかで1本のパスでゴールを狙っていました。やる気があったし、計算をしていた。一方の日本は、なんでそんなサッカーをやっているのという、意図が見えない、偶然性に頼ったサッカーに終始していた。ベスト8とか、いつのまにかベスト8以上とか、言っていたわけじゃないですか。もう目の前にそれがある。それなのにクロアチアの3トップに5バックで守った。最終ラインで人が余っていた。相手は前回の準優勝国、向かっていかなければいけないのは日本のほうなのに、クリンチで逃げているように見えました。
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