「ドイツ戦の成功体験」を引きずった森保ジャパンの戦いを検証。結果オーライで論理的には整合性がなかった (3ページ目)

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【神がかっていたスペイン戦】

杉山 3バックの位置づけはチームによって違うけど、基本は後ろに人が多いシステム。それをなぜコスタリカ戦でやるのか。コスタリカ戦はちゃんと攻めて勝たなければいけない試合でした。上田が不調だったということはあったにせよ、どうしてこんな布陣の変更をしたのかわかりません。ドイツ戦と違って、じっくり構えて考える時間があった試合だったにもかかわらす、いつもやっていないサッカーを始めて負けてしまった。これで初戦の勝利も台無しになり、ある意味で腹立たしい試合でした。

 上田はこの試合の前半で見切った感じで、その後は使われていない。町野修斗は1回も使われてない。使ったのはスピード系のふたりだけ。でもスピード系のCFは4-3-3にも4-2-3-1にも、もっと言えば5-3-2にも合わないです。

浅田 ボールが収まってほしい場面でCFのコントロールのミスというのも多かったですね。

杉山 ロシアW杯で日本のパスワークがそれまでよりよく見えたのは、大迫勇也のところでボールが収まったから。大迫の代わりは結局出てこず、上田や町野にその代わりは務まらなかったわけです。日本のパスワークを生かすサッカーをしようと思ったら、トップにボールが収まらないといけないんだけど、じゃあ森保一監督はどういうサッカーをしたいのか、という話です。

浅田 そしてスペイン戦。ドイツ戦も半分はそういうところがあったんだけど、あの三笘の折り返しへの判定を含めて、それこそ神がかっているような不思議な試合でしたね。その前のドイツ対スペインを見ていると、あのドイツがスペインからまったくボールを奪えなかった。これはすごいなと思っていたら、日本戦ではそういうキレはなく、無理せずボールを失わないことを優先して回していて、日本にスキがあれば攻めるという感じでした。

 それでも先制されるわけです。失点シーンを見直したら、スペインに2分ぐらいパスをつなぎ倒されゴールに完結されていた。それぐらいのことをやられていたわけです。後半、日本はメンバーチェンジが奏功したといえばそれまでですが、一瞬だけプレスがうまくはまり、あわてたスペインにつけ込むことができた。そして逆転してからもスペインがギアを上げてこないという、不思議な試合でした。

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