「いい加減、代表で勝ってみたい」「パリ五輪、チャンスがあれば」久保建英はワールドカップで新たな目標を見つけた (3ページ目)
【仲間と何かを掴み取りたい】
だが、久保には新しい目標ができた。
「次までの4年は長くて、ちょっと僕には遠い話。まずは残りのシーズンを頑張ること、そして、まだわからないですけど、パリでのオリンピックも僕は年齢的に出られるので、チャンスがあれば出たいなと思ったりしました」
思ったりしました、などと言う可愛らしい言葉遣いで、控えめに宣言する。
理由は簡単だ。
「代表活動が重要とかいうより、いい加減、代表で勝ってみたいなって」
日本代表の仲間と、何かを掴み取りたい──。負けはしたが完全燃焼できた東京五輪と、今回の不完全燃焼のワールドカップを経て、久保が得たのはそんな思いだった。
振り返るとこのワールドカップは、どんな大会だったか。
「うーん、楽しかったですし、楽しさが違いましたね。盛り上がりもすごかった。でも別に、プレーのレベルが上がるかといえば、そうではなかったですけど。その分、プレーでいつもしないミスが出たりとか、いつもできないことができたりとか、イレギュラーが多かったなと」
表情をひとつも変えず、久保は言った。
度重なる不運に見舞われ、思わぬ壁にぶち当たり、それでも楽しかったし、新たな目標を得られた──。それが21歳の久保建英、初めてのワールドカップだった。
【筆者プロフィール】了戒美子(りょうかい・よしこ)
1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)
★中村俊輔選手との鼎談全文(合計33ページ)収録★
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【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。
佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。
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