コスタリカ戦で望まざる強者の立場となった日本。布陣変更や選手交代の何がダメだったのか (2ページ目)
布陣変更が試合を難しくした
ただし、この試合がドイツ戦と大きく違っていたのは、立場の違いだ。その試合で受けて立つ強者の側にいたのはドイツであり、日本は完全なる弱者の側。チャレンジャーの立場だったが、この試合では、日本はそのチャレンジャー精神を頭では忘れないように迎えながらも、ピッチでまったく反対の立場で戦うことを強いられた。
自陣で「5-4」のブロックを作って守る格下の相手に対して、敵陣でボールを保持しながら縦パスによる中央攻撃と、サイドからのクロスを多用してゴールを攻略するサッカーは、日本がアジア最終予選前に何度も経験したシチュエーションだ。
しかしW杯に挑む日本には、もはやその強者のサッカーが失われ、守備面でいかに前から相手をハメて、高い位置でボールを奪って速く攻めるかという、ショートカウンターを軸とした攻撃に変化している。
それが顕著に表れたのが、前半30分の布陣変更だった。後方でボールを回してばかりで攻撃の姿勢を見せないコスタリカに対し、ほとんどチャンスを作れない戦況に必要以上の危機感を感じた森保監督は、布陣を3-4-3(3-4-2-1)に変更。最後尾に板倉滉、吉田麻也、長友佑都を並べ、右の山根視来と左の相馬勇紀をウイングバックに配置。堂安律、上田綺世、鎌田大地の3人が前線で相手の3バックにプレスをかけられるよう、ミスマッチ解消の作戦に出てしまった。
結果的に、この采配が強者であるはずの日本の攻撃にブレーキをかけ、より試合を難しいものにしてしまったことは否めない。
本来、強者は弱者に対して布陣のミスマッチを作って攻撃したほうが、遥かに相手の守備の混乱を引き起こしやすい。お互い4-2-3-1で臨んだドイツ戦でも、強者のドイツが日本を混乱させるために、前半途中から3バックに可変し、敢えてミスマッチの状況を作って日本をきりきり舞いにしたことは、記憶に新しい。
にもかかわらず、森保監督はフィールド10人が完全にマッチアップする3-4-3に変更し、コスタリカにとって守りやすい状況を与えてしまった。7失点を喫したスペイン戦のように、自陣に押し込まれ、左右中央から多彩なアタックを仕掛けられることを何より恐れていたコスタリカにとっては、天の恵みとも言える日本の布陣変更だったと言える。
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