ザッケローニが語る日本代表。カタールW杯でグループリーグ突破は「難しいとは思わない」 (4ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

長谷部誠が訪ねてきてくれた

――森保一監督にはなにかアドバイスはありますか?

「何もないよ。そんなことしたら最低だ。それに私なんかが口を挟まずとも、彼はチームの最高の生かし方を誰よりも知っているはずだ」

――どの監督にもお気に入りの選手がいると思いますが、あなたがサムライ・ブルーを率いていた時、特に目をかけていた選手はいるのですか。

「もうあれからかなり月日も経ったから、今なら言ってもいいだろう。私が誰よりも惹かれた選手は長谷部誠、我がキャプテンだ。ピッチの中でも外でも聡明で突出していた。彼は選手たちにとって大黒柱であったが、私にとってもそうだった。

 今でも彼とは非常にいい関係にある。彼のフランクフルトがグラスゴー・レンジャーズを破りヨーロッパリーグを制した直後に、長谷部はチェゼナティコまで私を訪ねてきてくれたんだ。あの優勝により、彼はヨーロッパでタイトルを手にした最年長日本人選手という、小さな、しかし偉大な記録を達成した。現在38歳の彼は、私の家に来た時、『そろそろ現役引退を考えている』と言っていたが、その後、彼が契約を更新し、もう少し選手としてこの世界にとどまることを知った。もし彼がそれを望むならば、きっととても優秀な監督になることだろう。

 2018年のロシアW杯で、日本はベルギーを2点リードしていたのに、結局は3-2で敗れ、念願のベスト8に届かなかった。確か長谷部はあの試合後に代表を引退したのだと思う。あれは本当に残念だった。ドーハでは、我が日本がロシアW杯以上に幸運に見舞われるよう祈っている」

――あなたはいくつものチームを率いてきましたが、日本は今も心の特別の場所にあるというのは言いすぎですか。

「言いすぎどころか、まさにそのとおりだよ。私のキャリアのなかでも、最もすばらしい経験のひとつだった」

webスポルティーバの大人気対談
「中村憲剛×佐藤寿人 日本サッカー向上委員会」が一冊の本になった!

 書籍名は「ケンゴとヒサト サッカー人生以外も役に立つサッカーの話」

 ふたりが願う「日本サッカーのさらなる向上」を実現するため、さまざまなテーマに沿って対談形式で本音をぶつけあう。また、カタールワールドカップ直前企画として「ふたりの思い出のワールドカップこぼれ話」、さらにはふたりが熱望した元日本代表MF中村俊輔選手を招いて豪華な「スペシャル鼎談」も収録。プロとして20年近く現役を続けられたふたりの言葉は、「サッカー以外の人生」にもきっと役に立つ。

<中村憲剛さんからのコメント>
「長く第一線でやれたのには理由があります。その要因を紐解くことは、サッカーだけではなく、おそらくサッカー以外の社会や組織にも当てはまること。その『ヒント』になるようなものが、この本には詰められていると思います」

<佐藤寿人さんからのコメント>
「僕らはスポーツの世界で経験してきたことを話していますけど、それをうまく変換して『自分事』として捉えていただき、それぞれの環境で生かしてもらえたら。サッカーをやってきたなかで学んだことは、人生にも役立つんです」

【書籍名】 ケンゴとヒサト サッカー人生以外も役に立つサッカーの話
【発 行】 集英社
【発 売】 2022年11月14日(月)
【定 価】 本体1,700円+税

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