サッカー日本代表の1トップ問題。福田正博が戦術面だけでなく未知なる要素からも起用を推す選手とは?

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Nakashima Daisuke

福田正博 フットボール原論

■サッカー日本代表の9月のアメリカ戦、エクアドル戦を経て、福田正博氏は森保一監督のカタールW杯本番での戦い方が固まったとみている。その上で懸案の1トップに誰を起用するのか、課題のセットプレーについてどう解決するのか、アイデアを聞いた。

布陣は鎌田大地を有効に使う形に

 9月にアメリカ、エクアドルと国際親善試合を行なったサッカー日本代表。カタールW杯直前の11月17日にカナダ戦が組まれているが、これは選手たちの調整試合になるため、先日の2試合が森保一監督の下で歩んできた最後のテストマッチでもあった。

9月のエクアドル戦に交代出場した上田綺世9月のエクアドル戦に交代出場した上田綺世この記事に関連する写真を見る 4年間かけて築いてきた堅守速攻のサッカーは、アメリカ戦ではひとまず成果を見た。エクアドル戦はスタメンをガラッと替えたことや、相手の強度もあって、前半は思うように試合を進められなかった。この2試合を踏まえて、戦術面での収穫と課題について触れたいと思う。

 まずフォーメーションは4-2-3-1で戦うのだろう。W杯アジア最終予選では途中から4-3-3に変更したまま戦ってきたが、グループステージで対戦するドイツ代表やスペイン代表の実力を考えて、元に戻したということだ。

 フォーメーションは選手の距離感をつくる指標に過ぎないが、4-3-3から4-2-3-1に変えるメリットは、中盤に厚みを持たせられる点だ。4-3-3の場合、インサイドハーフに守田英正(スポルティング)と田中碧(デュッセルドルフ)が入り、その後方中央にアンカーの遠藤航(シュツットガルト)が入る。

 これだといくら遠藤の守備力が高いと言っても、彼の両脇にある広いスペースを相手に狙われることがある。W杯最終予選でもそういったケースがあったが、その時は守田が遠藤の横の高さまで下がって中盤を厚くした。

 すると、今度は中盤の前のところで味方同士の距離感が広がってしまい、バランスが崩れてしまう。その対策や手持ちのカードを有効に使うためにと考えた結果、4-2-3-1に戻したということだ。

 有効に使いたいカード、それがトップ下に入った鎌田大地(フランクフルト)だ。鎌田はこれまで、クラブで見せる輝きを日本代表ではなかなか発揮できなかった。それがアメリカ戦、エクアドル戦ではトップ下に据えられて躍動できた。

 昨シーズンは移籍問題もあってコンディションがなかなか上がらずにW杯アジア最終予選でも苦戦し、年明けには代表招集外にもなった。しかし、その実力は日本代表にとって不可欠なものであるのは間違いない。それだけに森保監督は、守備が安定し、そのうえで鎌田が最大限に力を出せるポジションをつくったのだろう。

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