鈴木彩艷「フィールドでは何もできなくなった」少年が世代屈指のGKへ。先輩・西川周作のことは「本当にすごい」とリスペクト (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Nikkan sports/AFLO

---- 「自分の武器はこれだ」というのは、どんなところですか。

「守備では自分の身体能力を生かした伸びのあるセービングでゴールを守っていくことが強みとしてありますし、攻撃ではキックに飛距離が出るので、一発でチャンスメイクできるところが自分の強みではあります。ただ、その精度は、もっともっと磨いていかないといけないとも感じています」

---- キックだけでなく、スローも距離が出ますよね。

「U−17ワールドカップを見た人から、『スローが得意だね』と言われることは多いですけど、これくらいはほかのGKも投げられると思うので、そこまで強みとしている部分ではないです。ジュニアやジュニアユースの時はスローがめちゃ下手だったので、うまいと言われることに不思議な感じがします」

---- 今後ポジションを掴んでいくために、自分の課題だと考えているのはどんなところですか。

「まずは試合での安定感。細かいところですけど、一個のパスをずらさないとか、一個のキャッチをしっかり取りきるというところを含めた安定感です。

 それとクロスへの対応。どこにボールが落ちてくるかの判断や、ボールをしっかりと取りきる技術というところは伸ばしていきたいなと思っています。ただ、練習では起きないようなことを試合で経験することも多いので、やっぱり試合で学びながら進んでいくことが大事かなと思います。

 あとは、先ほども話した強みの部分の精度を上げることですね。キックの飛距離が出るからといって、ただ蹴って味方につながらなかったら意味がないですし、その成功率を上げるというところは、もっともっと磨いていきたいなと思います」

---- プレーの不安定さを自分でも感じている、と。

「試合中はいくらミスしても、メンタル的には気にせずやっていますけど、試合が終わって振り返ったときに、ちょっとドタバタさせてしまったなと思うことは多々あります。(西川)周作さんの試合に比べると、落ち着きだったり、安定感というところが足りないなと感じる試合は多いです」

---- やはり西川選手はいいGKですか。

「本当にすごいGKだと思います」

◆鈴木彩艷@後編はこちら>>20歳が見据えるパリ五輪、ワールドカップ、プレミアリーグ


【profile】
鈴木彩艶(すずき・ざいおん)
2002年8月21日生まれ、埼玉県さいたま市出身。ガーナ人の父と日本人の母との間に生まれる。小学時代から浦和レッズのアカデミーで育ち、2021年よりトップチームに昇格。3月2日に公式戦初出場を果たしてクラブ最年少出場記録を樹立し、ルヴァンカップではニューヒーロー賞を受賞する。日本代表はU−15から各年代で経験。2022年はU23アジアカップに飛び級、同年7月にはE-1サッカー選手権に出場するA代表に初めて選出された。ポジション=GK。身長190cm、体重93kg。

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