エクアドル戦で思い出した16年前の凶兆。余りにも不可解、なぜ森保監督は旗手怜央に出番を与えなかったのか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 高須力●撮影 photo by Takasu Tsutomu

 だからこそ、エクアドル戦の"使い方"には疑問が残った。

 エクアドル戦の日本は、アメリカ戦から先発メンバーを総入れ替え。試合内容が冴えなかった大きな要因のひとつが、この選手起用にあったことは間違いなく、そもそもこんなに極端な選手起用をする必要があったのかは疑わしい。

 これが、16年前のようにワールドカップ直前の試合だというなら、総入れ替えも理解できる。本番に向けたコンディション調整のため、登録メンバー全員にある程度のプレー時間を与えることが目的となるからだ。

 しかし、今回は違う。

 本大会はまだ2カ月先である一方で、本番前に活動できるのは、実質的に今回が最後。チーム戦術を固める作業を行ないつつ、"旬"な選手のなかから、本大会でのブレイク候補を探し出す(主力組に取り込む)テストが行なわれるべきではなかっただろうか。

 その意味で言えば、2試合で先発メンバーが総入れ替えされたことはもちろんだが、それ以上に不可解だったのは、旗手怜央にまったく出番が与えられなかったことだ。

 今季ヨーロッパでチャンピオンズリーグ(CL)デビューを果たし、レアル・マドリードをタジタジにさせた成長株が、わずかな出場時間すら与えられないまま、今回の代表活動を終えたのである。

 今となっては、アメリカ戦前に旗手から聞いた言葉があまりに虚しい。

――やってきたことをピッチ上で表現できている自信は、最近になって大きくなっている?

「CLも経験していますし、レアルとやれたっていうのは、僕のなかでは大きな出来事だった。そこでのプレーというのはすごく(手応えが)あったので、自信はすごくついていますけど、ただ、できないこと、やらなきゃいけないことはもっとあるんで、そこに目を向けてやっていきたいと思います」

――レアルとやれた、というのは単に試合をしたという意味だけではなく、手応えのあるプレーができたということ?

「(手応えのある)プレーもありましたし、メンタル的な部分だったり、試合に挑む気持ちだったり、そういうところで浮つきもなくできたりとか、心身ともに、プレーもそうですけど、すごく自信を持ってできたかなと思います」

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