日本代表にスペインの目利きが苦言。森保監督には「最善を尽くしたチーム編成を期待」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「失点をしなかったことは悪くない流れだが、心配なのは得点の気配がしなかったことだ......」

"スペインの目利き"ミケル・エチャリはスコアレスドローに終わった日本代表のエクアドル戦を、そう振り返っている。アメリカ戦は「プレスがはまってのカウンター」により2-0と勝利を収めたものの、攻撃は幅も深みも作れなかったことで、危機感を示していた。そしてエクアドル戦は、その厳しい指摘が当たっていたことを証明することになった。

「あえて苦言を呈するが、よいゲームだったとは言えない。アメリカ戦で指摘したように、難しいコンディションでのゲームだったのは間違いないだろう。しかし、チームとして戦うべきアイデアが明確に伝わってこなかったのは問題だ」

 エチャリは、レアル・ソシエダ、エイバル、アラベスなど有力クラブで監督や強化部長など、さまざまな役職についてきた。その直言は重い。かつて南アフリカW杯では大会前に阿部勇樹のアンカー起用を提言し、ブラジルW杯では「前がかりになりすぎている」と警告。そしてロシアW杯では、直前の監督交代で日本の下馬評は低かったが、その躍進をズバリ的中させた。

 森保ジャパンに関してもこれまで、たとえ負けてもよさを見出し、建設的な意見を発信してきた。だが、カタールW杯に向け、エクアドル戦は不安が募る試合になった。

エクアドル戦の後半22分、鎌田大地の出場でようやく日本の攻撃は活性化したエクアドル戦の後半22分、鎌田大地の出場でようやく日本の攻撃は活性化したこの記事に関連する写真を見る「日本は予想どおり、アメリカ戦から多くのメンバーを変更し、エクアドルに挑んでいる。テストの意味合いが大きいのだろう。布陣は4-2-3-1で、これはアメリカ戦と変わっていない。

 前半、試合を優勢に進めたのはエクアドルだった。

 エクアドルはアメリカと違い、バックラインにしっかりボールを持てる選手がいるのが特徴的と言えるだろう。戦術的に攻守のバランスがよく、練度の高さを見せた。日本のプレスを回避すると、ポゼッションを高めつつ、ゴールにも迫った。いくつか獲得したCKからの空中戦でもアドバンテージを得て、日本を苦しめている。

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