日本代表にスペインの目利きが苦言。森保監督には「最善を尽くしたチーム編成を期待」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

好転したのは鎌田、遠藤を投入してから

 しかし、エースFWのエネル・バレンシアを温存していたこともあったのか、得点力は高いと言えず、先制点は奪えていない。

 日本はアメリカ戦同様、前線の選手が果敢にプレスに行った。しかし、うしろがラインを上げられず、次第に間延びしていった。中盤の選手も、前とうしろを連結させるようなインテンシティはなく、しばしば空中戦でも敗れており、ボールの出どころにもなっていない。たまらず南野拓実が下がってボールを受けようとしたが、それも効果的ではなかった。

 前半、相手のミスからペナルティエリア内でパスカットした古橋亨梧が決定的シュートを放つシーンはあったが、相手をほとんど一度も崩せていない。これは大いに論ずべき点だろう。なぜなら前線の選手の責任だけでなく、チーム全体の問題だからだ」

 エチャリはそう言って、前半の出来に関しては厳しい評価を与えている。

「後半も、大きな流れは変わっていない。選手同士の距離感はむしろ悪くなる一方だった。上田綺世には長いボールが入ったが、問題は解消されていない。

 遅まきながら好転したのは、後半22分だった。

 鎌田大地、遠藤航のふたりを投入してから、守備が安定し、攻撃に軸が生まれている。特に鎌田はボールを受けると、的確に持ち運び、ピッチを広げ、深みを与え、プレーを活性化。そのおかげで南野、上田、堂安律などがシュートシーンを迎えている。

 しかし80分、相手に押し込まれると、谷口彰悟がたまらずエリア内で相手の選手の足を引っかけ、ファウルを犯してしまう。やや軽率なファウルだった。これで与えたPKを、GKシュミット・ダニエルがすばらしいシュートストップをした。シュミット・ダニエルはハイボールをこぼす場面もあったが、窮したチームを救ったと言える。

 結果として、スコアレスドローは妥当だろう。しかし、日本は攻撃の形を作れない時間が長く、相手に決定機を与えた数も多かった。課題が出た試合になったと言える」

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