サッカー日本代表、アメリカ戦はカタールW杯用に4-2-3-1で新戦術運用か。攻守に従来とは違う現象とデータ

  • 中山 淳●文 Text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

布陣を4-2-3-1に変更

 森保ジャパンの大会前最後の代表ウィークの初戦となったアメリカ戦。前半の鎌田大地と試合終盤の三笘薫のゴールにより、2-0で勝利を収めた。

アメリカ戦の前半は、前線から積極的にボールを奪いにいった日本アメリカ戦の前半は、前線から積極的にボールを奪いにいった日本この記事に関連する写真を見る 本番初戦となるドイツ戦の6日前にカナダとの親善試合が追加決定したとはいえ、今回の代表ウィーク2試合は本大会に向けた大事な最終調整の場だ。

 つまり、今回の2試合は、森保一監督がW杯本大会でどのような戦い方で挑もうとしているのかを推測するうえで、極めて重要な意味を持つ。

 そんな注目のアメリカ戦で、森保監督は戦前にほのめかしていたとおり、これまでの基本布陣の4-3-3ではなく、4-2-3-1を採用した。まずはこの布陣変更が、この試合で抑えておきたい最初のポイントになる。

 4-2-3-1は、森保ジャパン発足から昨年10月7日に行なわれたW杯アジア最終予選のサウジアラビア戦まで、約3年にわたって指揮官が頑なに貫いてきた基本布陣だ。

 ところが、アジア最終予選のスタートダッシュに失敗すると、窮地に追い込まれた森保監督は、10月12日のオーストラリア戦でボランチ3人を配置する4-3-3に変更。これが奏功して成績がV字回復し、以降は4-3-3が基本布陣となった。

 欧州組が不参加だった7月のE-1サッカー選手権を除けば、実に11試合連続で採用し続けていた基本布陣だ。

 その間、森保監督が4-2-3-1を使わなかったわけではない。6月のチュニジア戦では、後半途中に4-3-3から4-2-3-1にシフトチェンジ。1点のビハインドを背負った状態で、よりゴールを目指すための攻撃的布陣として採用している。

 それに対し、4-3-3は守備面で一定の成果を残した布陣だ。中盤にボランチタイプの3人(遠藤航、守田正英、田中碧)を配置することがその象徴で、状況次第では両ウイングが中盤に下がって4-5-1を形成。その分、攻撃力が低下する現象が起きていた。

 それぞれの布陣がどのような特性を持っているかは、過去の実績から森保監督自身も十分に理解しているはず。だとすれば、このタイミングで攻撃的な4-2-3-1を試合開始から採用したのは、本番を見据えるうえで決して小さくない変更点と言えるだろう。

 仮に次のエクアドル戦でも開始から4-2-3-1を採用したとしたら、4-3-3およびアメリカ戦の終盤で採用した5-4-1(3-4-2-1)は、プランB、プランCという位置づけに変わる。

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