サッカー日本代表、アメリカ戦はカタールW杯用に4-2-3-1で新戦術運用か。攻守に従来とは違う現象とデータ (2ページ目)
前半は高い位置でボールを回収
では、今回のアメリカ戦のピッチ上では、どのような現象が起きていたのか。守備と攻撃に分けて掘り下げてみる。
今回対戦したアメリカを率いるグレッグ・バーホルター監督は、基本布陣の4-3-3を採用。
ちなみに、大黒柱でもあるチェルシーのFWクリスチャン・プリシッチをはじめ、左サイドバック(SB)アントニー・ロビンソン(フラム)、MFユヌス・ムサ(バレンシア)、FWリカルド・ペピ(フローニンゲン)、ティモシー・ウェア(リール)といった主軸が欠場したため、ベストメンバーとは言えないスタメン編成を強いられていた。
対する森保ジャパンの4-2-3-1は、守備時に4-4-2を形成。今回のアメリカ戦でも、守備時は前線で前田大然と鎌田が並列になっていたが、とりわけこの試合の前半立ち上がりから目立っていたのが、アメリカのビルドアップを封じるべく、前からプレスをハメにいく攻撃的な守備だった。
具体的には、両センターバック(CB)には前田と鎌田、両SBには伊東純也と久保建英、そしてワンボランチを務めたタイラー・アダムズ(4番)には守田英正が前に出て圧力をかけるのが基本。前田が両CB間や、CBとGK間で2度追いする時は、鎌田がアダムズへのパスルートを消した。
そんな日本の前からのプレッシャーが奏功し、アメリカがビルドアップ時にミスを連発。日本が高い位置でボールを回収するシーンが、前半だけでも4分、13分、24分、27分、35分、47分と、計6回もあった。
そのうち、13分のシーンでは回収した久保からのパスを鎌田がシュートを狙い、24分のシーンではウェストン・マッケニー(8番)のミスパスを伊東が回収し、鎌田の先制ゴールをお膳立てしている。
とはいえ、これらは日本の狙いどおりの守備によって起こったと言うべきだったか。実際はアメリカの選手個人のミスが多分に影響していた感は否めない。
たとえば、4分のアダムズのミストラップ、24分のマッケニーのミスパス、35分のアダムズのミスパス、47分のGKマット・ターナーのミスキックなどは、W杯本番では起こりそうもないような、集中力を欠いた部分でのイージーミスだったからだ。
いずれにせよ、ビルドアップに苦しんだアメリカは、後半開始から交代カード4枚を切って、戦術変更を断行。日本の前からのプレスを回避すべく、布陣を3-4-2-1に変更した。
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