藤田譲瑠チマに膨らむ期待。「パリ五輪世代」のW杯メンバー入りはあるのか
サッカーにおける五輪代表は従来、五輪で結果を残すことはもちろん、A代表の底上げを担う"B代表"としての役割も期待されてきた。
アテネ経由ドイツ行き――。そう言って五輪世代の選手を鼓舞したのは、2004年アテネ五輪当時の山本昌邦U-23日本代表監督だが、五輪を経験した選手が2年後のワールドカップに出場する。それが、日本代表の強化において、理想的な流れと考えられてきた。
つまり、ワールドカップ開幕まで残り半年をきった現在、「五輪世代にA代表の底上げを期待する」と言った場合、その「五輪世代」が指すところは「東京五輪世代」である。
少なくとも従来の感覚で言えば、それが自然な流れだったはずだ。
しかし、「東京五輪世代」どころか、もしかすると、2年後の五輪本番を目指す「パリ五輪世代」が、その役目を果たしてしまうかもしれない。
にわかにそんな期待が高まるのは、横浜F・マリノスの20歳、MF藤田譲瑠チマの台頭が著しいからだ。
A代表デビュー戦で堂々たるパフォーマンスを披露した藤田譲瑠チマこの記事に関連する写真を見る 7月19日に開幕したE-1選手権で登録メンバー入りした藤田は、これがA代表初招集。J1で日常的に見せるパフォーマンスに加え、6月にウズベキスタンで開催されたU-23アジアカップでの活躍が評価された結果である。彼のプレーを見ていれば、そこに特段の驚きはない。
とはいえ、今回の日本代表メンバー26人のなかで、2002年生まれの藤田は、初招集であるばかりか、フィールドプレイヤー最年少である。多少なりとも気後れしたり、プレーが小さくなったりしても不思議はないはずだが、A代表デビュー戦となった大会初戦の香港戦では、実に堂々たるパフォーマンスを見せていた。
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