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中村憲剛と佐藤寿人にとってワールドカップとは?「あれを決めていれば、その1点で人生が変わった」 (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

中村 こういう道筋でワールドカップに到達する人間もいるよ、というのを伝えたいですね。僕の場合はですが、目標にしないことが逆によかったのかなと。望むものは日々コツコツ努力をし続けた先、日常の延長線上にあるものなのかなと。大事なのは、過去でも未来でもなく「今」であって、その積み重ねのなかで到達できる場所なのかなと思います。

---- 今年も4年に一度の大会が開かれますが、引退された今、また現役時代とは違った視点でワールドカップを見ることになりますね。

中村 本当に代表の結果って、この世界において重大なんですよ。それは引退してメディアの仕事をするようになってから、より感じています。

 オマーン戦(2021年9月)で負けた時の『DAZN』のスタジオの空気をいまだに忘れられないですから。取り返しのつかない事態が起きてしまったという感じで。僕らの時も負けた時にきっとこうだったのかなと。

佐藤 日本代表だけの問題ではないんですよね。それこそ、日本中にたくさんの想いがありますから。

中村 メディアの方たちもそうだし、サッカーをやっている子どもたちもそう。日本代表の敗戦は、みんなの敗戦になっちゃうんですよ。

 正直、そこまでの想いがあるというのは、代表のなかにいた時はわからなかったこと。メディア側にきて、日本代表の負けが、かくも重いものかと気づかされました。もちろん、選手としても重かったんですけど、また別の重さに感じますよね。

佐藤 特にワールドカップの結果は、大きいですよね。次の4年間のサッカー人気にも影響を及ぼしますし。

中村 それは岡田ジャパンの出国と帰国の時も思ったし、その流れでザックジャパンの試合がプラチナチケットになっていった時も感じました。ブラジル大会で惨敗した時は代表のなかにはいなかったですけど、あれだけ人気のあったチームが、手のひら返しで批判されるわけですから。

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