森保一監督が絶賛する町野修斗の実力は? E-1選手権代表選考は若手重視でいいのか (2ページ目)
残留争うチームにも日本代表の候補が
一方、代表候補に名前が挙がっているわけではないが、代表に呼んで「面白い」と思える選手が、同じ湘南にいた。中盤の底でプレーするMF田中聡(19歳)だ。
田中は局面での五分五分のボールに対し、ファイトできるし、負けない。名古屋戦は背後を取られる場面もあったが、腰の強さと反応の鋭さでリカバリーしていた。何より頭のよさを感じる選手で、ポジションをやたら動くことはせず、敵の2トップへのコースを遮断。周りを動かしながら、奪ったボールをダイレクトで差し込めるビジョンを持っている。
田中のもうひとつの利点は、左利きであることだろう。体を開かずに右にボールを預けられるし、タイミングが右利きと違い、ボールの巡りに変化を生み出せる。経験は圧倒的に足りないが、遠藤航、守田英正、田中碧、柴崎岳など、森保ジャパンのMFにはないアドバンテージだ。
実は湘南と同じく降格圏にいるクラブであっても、登竜門に立たせて面白い選手はいる。最下位、ヴィッセル神戸の若手でも、21歳の左利きのセンターバック、小林友希は線の細さは残るが、左足でつけるパスやポジショニングなどセンスを感じさせる。清水エスパルスの20歳のFW、鈴木唯人も森保監督好みのスピード系だ。
しかし、話をひっくり返すようだが、代表選手を選ぶのに若さを重視すること自体、競争原理には反する。若手の大会はアンダー世代であるもので、日の丸を背負う以上、その時点で最もふさわしい選手が選ばれるべきだろう。「若手は伸びる」かもしれないが、「ベテランは衰える」というのは間違いで、明らかに早熟、遅咲きというタイプはいる。
たとえば30歳を超えての代表初選出があれば、少なくともJリーグの活性化にはつながるだろう。同じ第19節にいい例があった。
現在、首位を走る横浜F・マリノスのMF水沼宏太は、代表招集歴はない32歳だが、選ばれるに値するプレーを示している。清水エスパルス戦も、試合を決定づけるふたつのアシストを決めた。右足のクロス、ラストパスは今やJリーグナンバー1と言える。プレーに幅、深みを作り、緩急も生み出せる、首位に立つクラブのベストプレーヤーだ。
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