なでしこジャパンが、ヨーロッパ勢との2連戦で10得点の快勝。海外組と国内組の融合で土台ができた (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 2得点に絡む活躍にも、本人は前半の動きをしきりに反省していた。

「前半は相手の強度に乗りきれてなかった。太さん(池田監督)からも『前半、もっと動けたんじゃない?』と言われたんですけど、本当にそのとおりで......」

 遠藤は今シーズンからアメリカNWSLへ挑戦している。半年にも満たないわずかな期間ではあるが、今回、練習のピッチに現れた彼女の体つきは変わり、シュートの音も重くなった。「遠藤、違うでしょ?」と目を細めたのは池田監督だ。期待が大きい分、要求も高くなる。

 自身の変化に遠藤は一番に海外選手と対峙する"慣れ"を挙げた。もちろんトレーニングも欠かさない。それは「遠めからのシュートも打てるようになるため」と、トレーニングで使用するウェイトを重くした。持ち上がらなかったものが少しずつ持ち上げられるようになり、毎日コツコツと積み上げた成果が、ブレない身体を作り、精度の高いクロス、重みのあるシュートを生み出している。

 こうした海外で活躍する選手たちが、なでしこジャパンに還元する要素はやはり高い個のスキル。国内で技術を高めることも十分可能だが、実際に"世界"に触れながらの日々とは濃度が異なるのも事実だ。

 今回は、その海外濃度と、国内濃度がうまく交じり合ったコンビネーションプレーでの得点も多く見られた。2試合で大量10得点――勝手知ったる選手だけでなく、第3、第4の動きを交えての10得点は相手のレベルを差し引いても評価できる。あとはW杯までに、このクオリティをどの強度の相手まで保つことができるか。保てなくなった際のプランB、C以降のバリエーションをいくつ作れるか。ようやくしっかりした土台が見えてきたヨーロッパ勢との2連戦だった。

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