WEリーグとなでしこリーグに違いはあったのか。INAC神戸の社長が語る今後の課題「惹きつける魅力が必要」

  • 早草紀子●取材・文・写真 text by Hayakusa Noriko

INAC神戸レオネッサ
安本卓史社長インタビュー 前編

 初の日本女子プロサッカーリーグであるWomen Empowerment League(WEリーグ)は、INAC神戸レオネッサの優勝で幕を閉じ、6月7日には都内某所で盛大なアワードも開催された。初代MVPはINAC神戸の山下杏也加が獲得。過去のリーグを振り返ってもGKとして日本女子サッカー界初の受賞となった。

狙いどおりにWEリーグ初代女王に輝いたINAC神戸狙いどおりにWEリーグ初代女王に輝いたINAC神戸 初代チャンピオンとなったINAC神戸は、WEリーグ初陣となる開幕戦でリーグアンセム『WE PROMISE』を作曲した春畑道哉さん本人が登場しての演奏披露や、リーグ初となる国立競技場でホームゲームを開催し、12000人を超える観客を動員するなど、女子プロサッカーの興行にあらゆる工夫を織り交ぜてきた。その仕掛け人が安本卓史社長だ。

 安本社長は自身を"ネオタイプ"と表現する。つまりは新基準。これまでにもホームゲームでカレーを自ら販売していることもあれば、あるときはスタジアムDJに変身、あるときは営業担当、PR担当、ポスター貼りにうちわ配り......とひとりで何役もこなすアイデアマンだ。その安本社長が並々ならぬ闘志で狙っていたのが"初代チャンピオン"の称号だった。

「勝つために星川敬監督(現・YSCC横浜監督)に来てもらったので、目標はもう初代チャンピオンのみでした。開幕からしばらく無失点試合が続いていましたし、無敗で来ていたこともあり、選手たちは相当なプレッシャーを感じていたと思います。そんなINAC神戸から『1点を獲りたい、黒星をつけたい』という相手チームの気迫も1戦ごとに強くなっていきました。選手たちも自分たちを追い込んで勝ち取った優勝だったので、当初は安堵感のほうが勝っていて、最近になってようやく満足感が出てきたようです」

 安堵感で言えば、安本社長も同様だろう。

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