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WEリーグとなでしこリーグに違いはあったのか。INAC神戸の社長が語る今後の課題「惹きつける魅力が必要」 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text by Hayakusa Noriko

WEリーグの知名度向上へ

 そんな安本社長にどうしても聞いておきたいことがあった。「WEリーグが発足して戦った1年を終えて、なでしこリーグとの違いはどこに感じたか」ということ。

「運営面で言えばそれほど違いを感じられませんでした。INAC神戸は(ヴィッセル神戸が本拠地とする)ノエビアスタジアムを利用するなど、他クラブに比べても特殊なところがあり、Jリーグ(J2の仙台、千葉、新潟など)と同様のスタジアムを使用しているのは半数以下で、見た目では変わっていないところもありますよね。ただ、内容は全然違います。(サンフレッチェ)広島レジーナの中嶋淑乃選手、ちふれASエルフェン埼玉の祐村ひかる選手、AC長野パルセイロレディースの瀧澤千聖選手......いい選手がたくさん出てきています。ここは、1部と2部の力量差が大きく開いていた、なでしこリーグと異なる点です。競技面での強度は確実に上がっていると実感できます」

 しかし、WEリーグの知名度が上がらないため、そうした魅力が一般的には伝わっていないのが現状だ。

「リーグやチームの力が及んでいないこともありますが、そこは選手自身にも変わってもらう必要があると思っています。もっとエンターテインメントにしないと。惹きつける魅力が必要なんです。

 INACの伊藤美紀は小柄な選手です(150cm)。彼女にはサッカースクールに参加した際には『みんな背が高いね~私、負けてる! でも、私WEリーガ―だよ』みたいなほうが絶対面白いぞって話しています。いわゆるギャップ。ウチの選手は、『魅力的なサッカーをしていればお客さんは見に来てくれると思います』と言うけれど、すかさず僕は『それは少し違うで』と言っています」

 INACは際どい試合をモノにし続け、優勝を手にした。これだけ勝ち続けてもまだまだ全国区的な知名度が高いとは言えないのが現実だ。

「ゴールパフォーマンスや試合前後のファンとの触れ合いもそうですが、より知ってもらうために、より楽しんでもらうために何が必要か。それを選手たちが理解することも大切なんです」

 世界から見ても遅れを取っている日本の女子スポーツ界におけるスポーツエンターテインメントの新たな形をWEリーグはどう示していくのか----今までと同じ手法では集客は頭打ちだ。リーグ、チーム、選手それぞれの立場で"伝える"手段を生み出さなければならない。どんなにいいパフォーマンスをしても、見てもらえなければ何も変わらない。まずは認知度の向上がWEリーグ発展の必須条件だ。後編ではINACの今後の取り組みについての話を聞く。

(つづく)

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