サッカー日本代表の攻撃データに劇的変化。パラグアイ戦でくさびの縦パスや連動性のパスはゼロ。有効だったのは? (4ページ目)
後半は4-2-3-1で攻撃的に
2-0で迎えた後半は、日本が開始から遠藤、吉田麻也、浅野を下げて、アンカーに板倉滉、左SBに中山雄太、1トップに前田大然を起用。左SBの伊藤がセンターバック(CB)に移動し、陣形を変えずに4-3-3を維持した。遠藤と吉田の交代は、4日後のブラジル戦を考慮してのもので、おそらく浅野も含めて予定されていた交代策だと思われる。
このように、フレンドリーマッチの後半は、試合展開とは無関係な選手交代が多くなるため、参考になるような材料が少なくなる傾向は否めない。しかしそのなかで、ひとつだけ確認しておくべきは、森保監督が後半61分に原口に代えて田中碧を起用し、布陣を4-2-3-1に変更したことだ。
森保監督は、本大会に向けて4-3-3以外のオプションを準備する意思を表明している。4-2-3-1は、アジア最終予選のオーストラリア戦(ホーム)より以前に、一貫して採用してきた布陣だ。
しかし4-3-3を基本布陣に変更してからは、昨年11月16日のオマーン戦の後半、あるいは今年3月29日のベトナム戦の後半のように、攻撃的に戦う際に採用している。そしてこのパラグアイ戦でも、その傾向が見て取れた。
後半のパラグアイは、前半に機能しなかった守備時の4-4-1-1を修正。20番と21番の位置を入れ替えて、21番を遠藤の見張り役とする中盤ダイヤモンド型の4-4-2のかたちにして、2トップが日本のCBに圧力をかける守備方法に変更した。
そして後半59分、その守備方法が見事にはまり、伊藤のパスミスを誘発。最後はデルリス・ゴンサレスがネットを揺らすことに成功している。
日本はその直後の60分に三笘のゴールで3-1としたわけだが、田中をピッチに送り出したタイミングを考えると、森保監督が1点差に追いつかれた時に攻撃的布陣に変更することを考えた可能性は十分にある。
いずれにしても、1トップ下に移動した鎌田がよりゴールに近いエリアでプレーするようになってPKを誘発し、後半85分には田中のゴールをアシスト。後半はクロスも10本に増加するなど、改めて4-2-3-1の攻撃面における有効性は示すことができた。
果たして、森保ジャパンとして初めてW杯優勝候補レベルのチームと戦うブラジル戦では、4-3-3と4-2-3-1をどのように使い分けるのか。あるいは、3バック採用もあるのか。
パラグアイ戦では確認できる材料が少なかった守備面の課題も含め、森保監督の本大会に向けた青写真がいかなるものなのか、ブラジル戦で注目すべきポイントは多い。
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