サッカー日本代表の攻撃データに劇的変化。パラグアイ戦でくさびの縦パスや連動性のパスはゼロ。有効だったのは?

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

ここまでのレギュラー以外が活躍

 6月の国内4連戦は、森保ジャパンにとって、本番に向けたラストフェーズにあたる。もちろん結果を出すことも大切な要素のひとつではあるが、やはりこの段階では試合内容が重要になる。

パラグアイ戦では、サイドチェンジによる攻撃が目立った日本代表パラグアイ戦では、サイドチェンジによる攻撃が目立った日本代表この記事に関連する写真を見る いかにしてドイツやスペインから勝ち点を稼ぎ、グループリーグ突破を目指すのか。メンバー編成や戦術も含め、あくまでもその目標を基準にして、逆算しながら本大会までの日本の戦いぶりを見ていく必要がある。

 その視点で見た場合、4-1で完勝した2日のパラグアイ戦をどのようにとらえるべきか。そこに、森保一監督が描く本番での戦い方は反映されていたのか。華々しい勝利という結果に流されることなく、W杯本大会での目標達成のためのプロセスとして、改めてこの試合を掘り下げてみる必要があるだろう。

 まず、試合前日に森保監督が「ブラジル戦に最終予選を戦ってきた選手を起用しようと思っています」とコメントしたように、この試合のスタメンは、吉田麻也と遠藤航を除き、これまでプレータイムが限られていた選手と代表デビュー戦の伊藤洋輝が名を連ねた。

 もちろん、W杯メンバー入りを目指す選手たちにとっては、ここからが本当のサバイバル。そういう意味で、直近(3月のアジア最終予選)の招集メンバーから外れた堂安律と、昨年10月7日のサウジアラビア戦を最後にスタメンから外れ、最近は招集されなくなっていた鎌田大地のふたりが、とくに高いパフォーマンを見せたことは、チームにとってポジティブな材料と言えるだろう。

 もっとも、試合は対戦相手あってのもの。仕方がないとはいえ、この試合のパラグアイが本大会の戦いを想定できるレベルになかったのは明白だった。

 長距離移動による疲労やモチベーションの違いはもちろん、W杯予選敗退を強いられたパラグアイにとって、現在は世代交代を含めたチーム作りの初期段階。

「経験値の高い選手たちがこの試合に出られなかった影響は大きく、今日の選手には、このレベルの国際試合を戦うには経験値が足りなかった」とは、昨年10月に就任したばかりのギジェルモ・バロスケロット監督の試合後のコメントだが、もうすぐ丸4年を迎える森保ジャパンとは、チーム強化の年月という点においても大きな差があった。

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