サッカー日本代表の攻撃データに劇的変化。パラグアイ戦でくさびの縦パスや連動性のパスはゼロ。有効だったのは? (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

個人のアドリブ攻撃が目立った

 そんな主力不在のパラグアイを率いるバロスケロット監督が、この試合で採用した布陣は、スペインのセルタ(エドゥアルド・コウデ監督)も採用する4-1-3-2。ピボーテ(アンカー)の前に3人のMFと前線に2トップを配置する変則的な布陣だ。

 ただし、守備時(日本がボールを保持した時)は4-4-1-1に可変し、2トップの一角を務める7番(デルリス・ゴンサレス)が遠藤へのパスコースを消す役割を担当。そして本来は守備的MFの20番(リチャルド・サンチェス)が1列下がって18番(アンドレス・クバス)とダブルボランチを形成し、日本のインサイドハーフ2枚(鎌田大地、原口元気)に対応する策をとった。

 しかしながら、主力不在のうえにまだチーム戦術が浸透していないため、この可変システムが機能したとは言い難いものがあった。とりわけ、2列目両サイドの10番(ミゲル・アルミロン)と21番(オスカル・ロメロ)の守備への戻りがおろそかで、逆に日本はそれを逃さず、立ち上がりから堂安と三笘薫の両ワイドを起点としながらチャンスを構築。前半だけでシュート10本を記録するなど、ゲームを支配することに成功した。

 とはいえ、慣れないメンバーでチームを編成したこともあってか、再現性の高い組織的攻撃によってチャンスを作っていたかと言うと、そうではなかった。どちらかと言えば、鎌田や堂安の創造性、三笘の突破力といった、選手個人の力に頼ったアドリブによる攻撃が目立っていた。

 事実、1トップに浅野拓磨が入ったこともあり、前半に記録した敵陣でのくさびの縦パスはゼロ。4-3-3に布陣変更してから縦パスが減少傾向にあったのは確かだが、さすがに1本もなかったことはない。しかもクロスボールも4本しかなく、過去最低レベル。ダイレクトパス3本以上をつないだ連動性のある攻撃も、1度も見られなかった。

 そんななか、前半における日本の攻撃でとくに目立っていたのが、サイドチェンジの活用だった。これは、過去の試合では見られなかった攻撃パターンだ。

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