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岡野雅行が語るJリーグベストイレブン、ジョホールバルの歓喜...すべての栄光につながっているゴール (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Jun Tsukida/AFLO SPORT

「自分で言うのもなんですけど、ホントに"突き刺さる"という感じでした(笑)。

 たぶん、それまでだったら、あれは打たなかったと思います。でも、あの場面で、しかも利き足ではない左足でも振りきる自信があって、それがまた、ホントにきれいにゴールに突き刺さった。

 やっぱり代表で結果を出したことで、なんて言ったらいいのか......、"体に芯ができた"感じがしました。自分が自分じゃないみたいな、何をやってもうまくいくような感じでした」

 さらに清水戦から3日後、ホームの駒場スタジアムに戻っても、サンフレッチェ広島戦で2戦連発のゴール。もはや「打てば入っちゃう、みたいな感じでしたね」。

「だから、レッズの選手たちも僕を信頼して、それまで以上にパスを出してくれるようになりました。『代表では使えるけど、レッズじゃ、ダメじゃん』では、次は選ばれないですし、レッズのなかでは一番目立っていなきゃいけないなと思っていました」

 ウルグアイ戦をきっかけに、たちまち積み上がっていくゴール数を見ながら、岡野は自然とふた桁ゴールを意識するようにもなっていた。

「おそらく当時のインタビューでも、ふた桁はとりたいと常に言っていたと思います」

 結果的に、岡野は有言実行の11ゴールを記録するわけだが、興味深いのはふた桁にリーチをかけたあとの2ゴール、すなわち、10点目、11点目のゴールが、いずれもヘディングシュートによるものだったことである。

 岡野が照れ笑いを浮かべる。

「ヘディングって言っても、クロスをガーンと叩きつけるような感じじゃないですよ、僕のヘディングは。全部こぼれ球です(笑)」

 実際、岡野にヘディング巧者のイメージはない。岡野自身、「僕は小学生の時に"事故"を起こしてから、それがトラウマになってヘディングは苦手でした」と認めている。

 岡野が言う事故とは、ある試合でのことだ。

 小学生当時から足が速かった岡野は、味方GKが大きく蹴ったボールを追いかけ、相手ゴール前へ向かって走っていた。そして、スピードに乗ったままヘディングしようと、ボール目がけて大きくジャンプ。と、その瞬間である。

 飛び出してきた相手GKと激しく激突した岡野少年は、一瞬、目に映るものの動きがすべてスローモーションになったことは覚えているが、次に気がついた時は、ベッドの上にいた。

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