「この監督の言うことを信じていれば、世界に勝てるかも」今野泰幸がワクワクしていた日本代表とは (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

「アウェーに行くと、何でもないような場面でもお客さんが沸いて、自分たちはピンチになっているような錯覚に陥ったりもするし、相手選手もその声援に乗って、すごく躍動感のあるプレーをしてきたりもする。やっぱり今の選手も、そういった最終予選ならではの難しさを感じていると思います」

 照れくさそうに「僕があんまり偉そうなことは言えないですけどね」とつけ加える今野だが、過去にはワールドカップ3大会でアジア最終予選に出場しているのをはじめ、年代別日本代表も含めれば、アジアでの真剣勝負を幾度となく経験し、その度に苦しい戦いを勝ち抜いてきた。

 当然、今でも印象に残っている試合は数多い。

「(2011年の)アジアカップ決勝のオーストラリア戦とか、準決勝の韓国戦とか、やっぱり(アルベルト・)ザッケローニ監督の時は(日本代表への)思い入れも強かったので、当時の試合はよく覚えていますね。

 あとは最終予選での、ワールドカップ出場が決まったホームのオーストラリア戦とか。そういう試合が思い浮かびます」

 今野の回想に複数のオーストラリア戦が出てくるのは、「やっぱり日本の天敵、(ティム・)ケーヒルがいたので」。"日本キラー"と呼ばれた背番号4の強烈な印象とともに、それぞれの試合が脳裏に焼きついている。

「ケーヒルはジャンプ力がすごいので、僕とケーヒルがヘディングで競るとなったら、かなり分が悪いじゃないですか。それなのに、ザッケローニ監督は僕にセンターバックを任せてくれて、その対応をしなければいけないっていうことで、かなり信頼を感じました。

 だから僕なりに考えて、ヘディングでバチンと勝てないにしても、体をぶつけまくって相手にヘディングをミートさせない。そういう仕事を多くできていた気がします。やられたシーンはそんなに......まあ、あったかもしれないけど、結構体にガンガンぶつかってクロス対応できていたので、そういう意味では僕自身、いい試合ができていたんじゃないかなと思っています」

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