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ジーコジャパンを土壇場で救った大黒将志の劇的ゴール「パスが来る確信があった」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by REUTERS/AFLO

 はたして、数週間前に初招集されたばかりの、それも追加招集だった"第4のFW"は、最終予選本番でもベンチ入りとなったのである。

「カザフスタン戦で代表の試合がどういうもんかはつかめていたんで、あとは自分に足りないのはゴールやな、と。やるしかない、と思っていました」

 大黒は北朝鮮戦に臨むにあたり、「自分が出るとしたら」と、ふたつのパターンを想定していた。

 ひとつは、日本が大量得点で大きくリードした時。もうひとつは、日本が負けているか、引き分けているかで得点が必要な時、である。

「1-0とかで勝っていたら、たぶん(途中交代で)ディフェンスや中盤の選手を入れるので、FWは出さないですよね。だから、そのどっちかしかないと思っていました」

 試合は、開始4分にして小笠原がFKを直接決め、日本が先制するも、その後は北朝鮮の激しい守備に手を焼く展開が続いた。

「1-0で勝っていた時は、『これ、(北朝鮮が)点入れへんかったら、今日は出えへんやろな』って。でも『まあ、入るかもしれんから準備しとこ』と思っていました。相手のGKは大きいけど、足元が弱いとか、そういうのを見ながら準備していたって感じでした」

 すると、日本は追加点を奪うどころか、次第にカウンターを受ける機会が増え、後半61分に同点ゴールを許してしまう。

「あ、これは(出番が)あるかもしれんな」。図らずも試合は、大黒が出番を想定した状況へ動き始めた。

 思わぬ展開に、ジーコ監督は64分に高原を、66分には中村俊を立て続けに送り出す。

「タカ(高原)さんがベンチにいたんで、『まずタカさんがいくやろな』って、そこまで予想できていましたね。『それで(ゴールが)入らんかったら、たぶん(自分が)いくやろな』って」

 切り札である海外組のふたりを投入してもなお、1点が遠い状況に79分、ベンチ脇でアップを続けていた大黒に声がかかる。

「『来た!』って感じでした。状況も整理できているし、味方の特長は全員つかんでいた。そういうなかで出していただけたんで、何も不安はなかったです」

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