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中村憲剛「オレが持ったら?」岡崎慎司「裏っすよ!」。ふたりの約束が生んだW杯最終予選の劇的ゴール (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AP/AFLO

 ところが、岡崎はウズベキスタン戦直前に行なわれたキリンカップで、一躍先発候補に名乗り出ることになる。チリ、ベルギーを相手に2試合で3ゴールを叩き出したからだ。

「田中達也さんのケガで自分にチャンスが来たっていう形で、自分の実力だけではないっていうのは、もちろんわかっていました」

 そう振り返る岡崎だが、「最後のところで、パスが自分に集まってきているなっていうのは実感していた」と、そのチャンスをつかみかけている手応えもあったという。

「チリやベルギーから点をとれて、(巡ってきた)チャンスを生かせていたけど、結局、公式戦でとれなかったら意味がない。だから、このウズベキスタン戦にかけていました。自分の立ち位置としても、ここで(ポジションを)つかみたいなって」

 結果を出し続けることで、ようやく勝ちとった最終予選初先発の大チャンス。岡崎にしてみれば、自分のことで頭はいっぱいだった。

「もちろん、この最終予選を勝ち抜いてワールドカップへ行かなきゃいけないっていう気持ちはありましたけど、そこは頼りになる先輩方がいたんで(苦笑)。僕はどちらかというと、これでワールドカップ出場が決まるんだっていうような、日本代表を背負って戦う気持ちには程遠くて、自分のサッカー人生において、ここで結果を出すか、出さないかが、すごく重要な試合だっていうほうが大きかったですね」

 だからだろうか、自らが大仕事を成し遂げた試合にもかかわらず、岡崎は「とにかく必死だったので、(試合の詳細までは)あまり記憶に残っていない」。ただただ強烈な印象として残っているのは、「相手の圧がスゴかった」こと。岡崎の脳裏には、歓喜の一戦というよりも、「苦しかった試合」としてウズベキスタンの強さが焼きついている。

「前に大柄な選手がいて、フィジカルでゴリゴリ押されていたので、最後は相手のシュートがバーに当たったり、危ないシーンもありました。確かあの時、矢野貴章さんが(途中出場で)入ってきて、最後はふたりでロングボールをなんとか収めて、みたいな感じだったと思うんですけど、追加点を狙うよりはみんなで守備をして、っていう感じでした。最後はホント、1-0を守り切った感じでした」

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