2021.09.21

中村憲剛「オレが持ったら?」岡崎慎司「裏っすよ!」。ふたりの約束が生んだW杯最終予選の劇的ゴール

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AP/AFLO

カタールW杯アジア最終予選特集

W杯最終予選で日本を救った一撃
日本1-0ウズベキスタン(2009年6月6日)
~岡崎慎司(前編)

W杯アジア最終予選において、ラクな試合などひとつもない。つまり、W杯出場切符を獲得することは、決して簡単なことではないのだ。ゆえに、現在6大会連続でW杯出場を決めている日本であっても、最終予選では何度となくピンチを迎えてきた。しかしそのつど、日本代表を救う劇的なゴールを決めてきた選手がいる。ここでは、そんな"大仕事"を果たした男たちにスポットを当てる――。

 2009年6月6日、ウズベキスタン・タシケント。日本1-0ウズベキスタン。

 日本が2010年ワールドカップ南アフリカ大会への出場を決めた試合である。

 この重要な一戦で決勝ゴールを決めたのは、岡崎慎司。現在では、A代表通算119試合出場、通算50ゴールという輝かしい記録を持つ日本史上屈指の点取り屋も、当時は前年に北京五輪に出場し、A代表で出場機会をつかみ始めた23歳だった。

2010年南アフリカW杯最終予選のウズベキスタン戦で会心の一発を決めた岡崎慎司2010年南アフリカW杯最終予選のウズベキスタン戦で会心の一発を決めた岡崎慎司 この記事に関連する写真を見る  ようやく頭角を現してきたばかりの新鋭FWは、いかにして大仕事を成し遂げ、ニューヒーローとなったのか。

「僕のなかで、もちろん印象深いゴールではあるんですけど......」

 ためらいがちにそう語る岡崎が、大一番を振り返る。

        ◆        ◆        ◆

 まずは、この試合までの最終予選の流れを整理しておこう。

 オーストラリア、ウズベキスタン、カタール、バーレーンと同組だった日本は、この試合を前に5試合を終え、3勝2分けの勝ち点11でグループ首位に立っていた。

 日本はウズベキスタンとのアウェーゲームに勝てば、ワールドカップ出場が決まる。そんな状況にあった。

 その一方で、岡崎自身は4試合に途中出場しただけ。玉田圭司、大久保嘉人、田中達也ら、先輩FWの壁は厚く、先発メンバーに名を連ねたことはなかった。