「度胸試しなら負けないぞ」U-24日本代表の選手たちは東京五輪で何を語ったか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 早草紀子●撮影 photo by Hayakusa Noriko

「どの試合もそうだが、先制点をとるととられるとでは、試合が180度変わる。前半に1点とれれば理想だが、ゼロ(無失点)で進めることが大事。その強さが今の僕らにはある」(田中)

 だが、予想に反して、試合は早々に動いた。主導権を握ったのは日本だった。まずは6分、堂安のクロスを、久保が巧みに左足で合わせて先制ゴール。

「堂安選手がうまく相手をかわした瞬間に僕は走り出した。堂安選手が試合前にも、自分のことを見ていると言ってくれていた。すばらしいパスが来たので、あとは落ち着いて決めるだけだった」(久保)

「(林)大地くんが縦に(ニアサイドへ)入ってくるのが見えたので、そこじゃなくマイナスにあえて出した。(久保が)よく合わせてくれた。合わせたほうがうまかった」(堂安)

 これで、久保は今大会2試合連続ゴール。

「僕としては、チームが勝てばそれでいい。傲慢にならず、チームの勝ちだけを求めていければいいかなと思う」(久保)

 そして、先制からわずか5分後に追加点。相馬がファールを受けて得たPKを、堂安がゴールど真ん中に叩き込んだ。

「度胸試しなら負けないぞ、と。(相手GKオチョアを)"ブチ抜く宣言"をしていたんで、何が一番ブチ抜くこと(になる)かなと思いながら、真ん中に蹴った」(堂安)

 2点をリードした日本は、守備でもメキシコの武器であるサイド攻撃をストップ。

「(サイドの)僕らがやられたら試合(の主導権)を持っていかれる。相馬、(板倉)滉と完璧に近い形で(相手を)ハメられるシーンがあった」(中山)

 日本の優勢で進んだ試合は、後半半ばにメキシコが退場者を出したことで、もはや勝負は決したかに思われた。だが、メキシコは驚異的な粘りで終盤に1点を返すと、さらなる猛攻を続けた。

「簡単に勝てる試合はないと肌で感じている。常に緊張感を持ってできているのは楽しいことでもあり、金メダルを獲るのは簡単じゃないぞと見せつけられた感じもある」(板倉滉)

 リードした試合をどう終わらせるか。その点において、日本は初戦に続いて課題を残した。

「完璧な試合はない。どんなにいい試合でも課題は出てくる。勝ちながら修正していければいい」(酒井宏樹)

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